日本は世界の中でも数少ない、四季の移ろいを感じられる場所にある。しかし現在、季節感は薄れつつある。適切に温度調整され、一足先の装いが飾られたショーウィンドウが並ぶ街で暮らしていると、今がどんな季節なのかは感じづらいだろう。意識して一度立ち止まって、身の回りの季節について、耳を傾ける時間も必要なのかもしれない。 季節の温度や移ろいには、人それぞれの視点や愛着がある。この連載では、様々な方が日常を通して体感した、季節の便りをお届けする。これまで2回、日本草木研究所の古谷さんから便りを頂いた。古谷さんは日本草木研究所の活動を通して、日本の野山に分け入り、全国に眠る植生の「食材としての可能性」の発掘を…