金木犀は枝を折って持ち帰っても香りがしない。これは農家を営んでいる田舎の親戚が言っていた事なのでおそらくは本当だろう。百合のように香りとルックスの二刀流でもないし。だから他人様の庭木を折るような罪を犯すなという事でもある。西瓜泥棒とかね。 では文学や歌謡曲で「香る金木犀はあるのか」というと、文学賞の応募作の下読み歴数十年のベテランさんが「この世界の不文律は、読んでいない本の評価はできない。ということ」と言っていた。やつれはてているとはいえ、そこが文学者の意地・矜持ですよね。つまり「引用した断片がいい香りがするかどうかは、読んで引用した人自身の魂に根差しているかどうか」なのである。片仮名で「リス…