ベラヌールに行き、ぺルラという婆さんからナナが好きな花の種をもらったおれは 意気揚々とサマルトリアへ戻った。 あとは、城にいる花に詳しい誰かに頼んで、この種を植えてもらえば良いだけだと 明るい見通しを立てていたのだが、ここで思わぬ壁にぶち当たることになった。 城に戻ったおれは、さっそく種を手に庭の管理をしている女中のもとへ行ったのだが 女中はおれの申し出に表情を曇らせた。 「私は王妃様の指示に従ってお花の世話をしているだけで、花には詳しくないのです。 坊ちゃんがその種を植えたいのであれば、王妃様に頼まれた方が良いと思います」 声をかけた女中は申し訳なさそうにペコリと一礼して去って行った。 他に…