先日、新宿紀伊國屋書店の哲学書関係のコーナーで『実存主義者のカフェにて 自由と存在とアプリコットカクテルを』(サラ・ベイクウェル、2016年、向井和美訳、紀伊國屋書店、2024年) という本を見つけたので、タイトルに惹かれてさっそく購入して読んでみた。内容は、サルトル、ボーヴォワール、メルロ=ポンティ、カミュといったフランスの思想家、作家たちに、彼らに強い影響を与えたフッサール、ハイデッガー、ヤスパースといったドイツの思想家、哲学者たちをからめ、第二次世界大戦をはさんだ仏独の時代状況、それをふまえたうえでの各人の思想、そして彼らの具体的な交友関係や絡み合いを、あたかもほつれた毛糸玉の糸を解きほ…