「嘔吐」は出口なしだ。 この物語はある袋小路から始まる。物語ではいくつかの啓示が語られるのだが、それらは結局、苦々しく生彩を欠いた事実確認に至らざるをえない。物語の中途半端な結末は、ある曖昧な未来を垣間見させている。だがだからといって、実存についてのこの教養小説は悲観的なものではない。「嘔吐」は、サルトルの哲学的省察の実験であり舞台化であるが、その彼の省察をまとめた最初の三冊の論考は、想像力、情動、想像的なものの基礎的な現象学的価値を認めることを企てている。しかしこの小説はまた、意気消沈した語り手の視点から、そうした理論的探求 歪められた、あるいはサルトルの言葉通りに取れば、偶然に委ねられた探…