ショーン・コネリーやダニエラ・ビアンキの話ではない。 ロシアはやはりビジネスで訪れる国では無い。当時はそう思った。ビジネスなんてやっている場合では無い。至る所、歴史と芸術の精が纏わりついているようで、かつ、こういうのを大国というのだろう、と納得した記憶がある。西欧とは違う独特の雰囲気が漂ってくる国で、何か威厳を感じさせるものがあった。ロマノフ朝の残光だったのであろうか、もう数十年も前、エリツィン大統領の時代の話である。 かつてロシア宮廷ではフランス語が公用語のように使用された。17世紀、ピョートル大帝が西欧文明導入に躍起になったことに始まる。大国ではあるが後進国であった事は間違いない。訪問時に…