私は出された食事には文句を言ってはいけないと躾けられた。 戦中の食料不足を経験している祖母の教えであり、私は忠実に守っている。よほど不味くない限り残さず完食する。 ところで私は銀座の裏通りで30年以上働いてきた。銀座という街はお洒落な街である以上に美食の街でもある。正直、夜はとんでもない値段の料理を出す店が珍しくないが、金さえ出せばある程度美味しい食事にありつける。 でもその街で働く身としては、毎日の昼食に大枚をはたく訳にはいかない。ところが良くしたもので、昼間すなわちランチタイムには、本来夜に出すはずの食材で余った奴を出す店がある。これは当然に美味い。また料理人の腕も銀座はかなり良い。いや、…