1〈ボンボンとヤンキー〉 「飛~べ!飛~べ!」 「オラッ!度胸試すんちゃうんか~?」 公園前の団地では、悪ふざけする高校生達の威圧的な声と、おちゃらけた手拍子が響く。 「そんな~、無理だよ~」 情けない声を出して愛想笑いを返す秋人は、恐る恐る下を眺める。 秋人が立っている場所は二階の階段前に有る雨よけの部分だった。 「俺達が見本見せたったやろが」 「無理だよ~、怪我するよ~」 しゃがみ込み秋人が怯えれば怯える程、他の三人は嬉しそうに笑い声をあげている。 「ええから早う飛べや~!」 面白がった一人が秋人の背中を押すと、他の二人も真似をして押しだす。 こんなつまらないやり取りが30分以上続いていた…