あいまいな内田樹氏の死刑論 麻原彰晃(松本智津夫)をはじめとするオウム真理教事件関係者7人の同日処刑という衝撃の事態を受けて、多くの人が死刑制度の是非について自説を語っている。 たとえば、思想家・内田樹氏は次のように書いている[1]。 死刑については、いくつものレベルの問題があり、軽々に適否を論じることはできない。 「国家が人を殺す死刑という制度そのものの存否」にかかわる原理的な問いがあり、「死刑は犯罪の予防に有効なのか」という統計的な問いがあり、「被害者遺族の怒りや悲しみはどうすれば癒されるのか」という感情の問題があり、それらが入り組んでいる。 死刑の存否について、「どちらか」に与して、断定…