芸術家には、その作品に創造時の心理や感情、さらにはその根底となる私生活の状況や出来事などが強く反映してしまうタイプと、あまり、あるいははほとんどそれの感じられないタイプがあります。 芸術家も人間である以上、どちらかと言えば前者の方が普通と言ってよいかもしれませんが、後者の代表格として知られるのがモーツァルトです。 これはもちろん、モーツァルトの作品には、常に、如何なる場合も私生活の影響が現れないという意味ではなく、「それを反映させずに制作するのは何でもない」のだという点にご注意ください。 前記事において、「ヴァイオリン・ソナタ ホ短調 K.304(300c)」には母親を失くし、アロイジア・ウェ…