今日は久しぶりに本を読んだ。阿部昭『単純な生活』という小説だ。シカゴ音響派のシー・アンド・ケイクの音楽を聴きながら読む。実を言うと(毎朝のことなのだけれど)仕事に行きたくないとか気分が乗らないとか、そんなネガティブなことを考え込んでいたのだけれど今日は天気も良かったこともあって、この素晴らしい小説を読んでいたら心が落ち着いた。著者が私と同じ40代半ばに差し掛かった時に記された私小説的な作品で、随所に中年の悲哀が感じられる。私もこの歳になって「自分の人生は何だったんだろう」と振り返ることが多くなったから、今回の読書は心に沁みた。生きてみないとわからないことがあまりにも多いことに気づかされる。かつ…