James Crumly (USA: 1939-)
1969
One to Count Cadence
「我ひとり永遠に行進す」
植草郷士訳 東京書籍 1989
1975
The Wrong Case
ミロドラゴヴィッチ・シリーズ
「酔いどれの誇り」
小鷹信光訳 ハヤカワ・ノヴェルズ 1984
小鷹信光訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1992
没落した名家の生まれのミロは、遺産が入る日を待ちわびる酒びたりの私立探偵。ある日、彼のもとを一人の女が訪れた。行方不明の弟を捜してくれというのだが、やがて、若者は麻薬の射ちすぎで死体となって発見された。姉の話とは裏腹に、弟は自堕落な日々を送っていたらしい。埋もれた過去を追い、ミロは荒廃した街へ踏み込んでいった。大西部の片隅に生きる人々の哀しみを、詩情をこめて謳い上げる極上のハードボイルド。
文芸春秋編『東西ミステリーベスト100』(文春文庫)海外編 (1986) 99位
《ミステリマガジン》「読者が選ぶ海外ミステリ・ベスト100」 (1991) 97位
文春傑作ミステリー・ベスト10 1984 海外部門5位
1978
The Last Good Kiss
「さらば甘き口づけ」
小泉喜美子訳 ハヤカワ・ノヴェルズ 1980
小泉喜美子訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1988
酔いどれの私立探偵スルーはカリフォルニア州の酒場で、捜索を依頼されたアル中作家トラハーンを見つけた。が、トラハーンは怪我のため入院することになった。足止めをくったスルーは、そこで、酒場のマダムからの別の依頼を引き受けた。依頼は、10年前に姿を消したきり行方の知れない娘を捜してほしいというものだった。病院を抜け出してきたトラハーンとともに娘の足跡をたどり始めたスルーの前に、やがて、女優志望だった娘の10年間の哀しい軌跡が浮かびあがってきた……。さまざまな傷を負った心を詩情豊かに描く現代ハードボイルドの傑作。
《EQ》「100号記念ベストミステリー120選」 (1995)
《ミステリマガジン》「読者が選ぶ海外ミステリ・ベスト100」 (1991) 78位
1983
Dancing Bear
ミロドラゴヴィッチ・シリーズ
「ダンシング・ベア」
大久保寛訳 ハヤカワ・ノヴェルズ 1985
大久保寛訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 1993
11月になると、ここ西部にも万物が凍てつく冬の足音が聞こえてくる。吹きすさぶ風が運んできたかのように、私のもとに一通の手紙が舞いこんだ。死んだ父親の愛人からで、密会を続ける謎の男女の目的を探ってほしいという。好奇心も手伝って、私はその男女を追い始めたが、やがて思いもよらぬ殺人事件の渦中に。『酔いどれの誇り』に続き、大西部の雄大な自然に抱かれて生きる探偵ミロの姿を詩情豊かに描き出した感動作。
文春傑作ミステリー・ベスト10 1985 海外部門2位
1987
Pigeon Shoot
1988
Whores
「娼婦たち」
大久保寛,松下祥子訳 ハヤカワ・ノヴェルズ 1993
夏の日の午後、私とレイシーは退屈な大学の研究室を出て、魔法瓶にジン・トニックをつめ、古いキャデラックに乗りこんでメキシコ国境へ向かう。国境の町の売春宿へ。妻とうまくいっていなかったレイシーは、そこで出会った美しい娼婦と恋に落ちるが――。表題作「娼婦たち」をはじめ、『さらば甘き口づけ』の続篇の冒頭部分「メキシコのリュウキュウガモ」、農夫だった祖父の葬式のためにテキサスへ帰郷する男を描く「石の墓標」、創作の秘密を語るインタビューなど、独自の男の世界がひろがる11篇。
1991
Muddy Fork And Other Things
1993
The Mexican Tree Duck
「友よ、戦いの果てに」
小鷹信光訳 早川書房 1996
本書は、70年代のもっともすばらしい私立探偵小説といわれる『さらば甘き口づけ』の続篇にあたり、国際推理作家協会が主催するハメット賞を受賞するなど高い評価を得た作品である。魅力的な登場人物たち、想像力豊かで奔放なプロット、詩情豊かな語り口など、クラムリー節は相変わらず健在だ。ハードボイルドの最高峰クラムリーの入魂の最新作。
「このミステリーがすごい!」(宝島社)海外編 1997年度 5位
1996
Bordersnakes
「明日なき二人」
小鷹信光訳 早川書房 1998
『酔いどれの誇り』のミロ・ミロドラゴヴィッチと、『さらば甘き口づけ』のC・W・シュグルーという二大探偵の競演がついに実現した。親の遺産を持ち逃げされたミロと、謎の刺客に襲われ九死に一生を得たシュグルーの二人は、それぞれの思惑を胸に一路メキシコ国境を目指すが、その過程で一人の謎の女の存在に突き当たる。