80年代末の大納会で40000円目前まで迫った日経平均は90年代に入り反転急落に入る。失われた10年と称された年紀だが30年を経た2020年に於いても未だ半値の20000円台で低迷を続けている。そして、この先もずーっと失われ続けるだろう。 暗い時代を表象するように、95年には阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件が起こり、その狭間で俺は結婚し、喘ぐように人生の再起を誓ってみせたりしたが、長男誕生の翌年、転勤先の山口で会社が倒産する。 そういうなかで一時期減少していた映画館通いが、俺の中で逃避装置として再び頭をもたげ始めるのであった。 折しも低迷する日本を尻目に台頭し始めたアジア映画が硬直を押し広げ世…