Judith P. Butler (1956年2月24日-) ポスト構造主義思想家。 カリフォルニア大学バークリー校の修辞学・比較文学教授であり、フェミニズム、クィア理論、政治哲学、倫理学に寄与。 『ジェンダー・トラブル─フェミニズムとアイデンティティの攪乱』(青土社、1999年)で理論家としての地位を確立。 ユダヤ系出自であり、レズビアンである事を公言。
ジュディス・バトラーと、フェミニズム/クィア理論の名著『ジェンダー・トラブル』 バトラー入門 (ちくま新書) 作者:藤高和輝 筑摩書房 Amazon 今日、ジュディス・バトラーの名前はわりとよく知られているのではないかと思う。フェミニズムやジェンダー理論、クィア理論の著名な思想家だ。 でも、その主著である『ジェンダー・トラブル』を読んだことのある方は、そう多くはないのではないだろうか。というのも、これはたいへん難解なことでも知られる本だからだ。私も読んでいない。そして、そんな私たちのために書かれたとても助かる一冊が、今回紹介する藤高和輝『バトラー入門』だ。 著者はやはりフェミニズムやクィア理論…
余裕のある朝などに、4ヶ月ほどかけて読み進めてきた哲学書をようやく先日読み終えた。 授業で読むのとは違って教授の解説には頼らずじっくりと向き合い、読む気になれないときは放置しながらなんとか読み終えるというのは、以前、何冊も本を読んでいたときの自分のスタイルだった。本が好きになれたのは、親がそう仕向けてくれたにせよ、誰からも強制されず、読んでいる間はその世界に浸れたからだ。 哲学書は、フィクションの世界観に浸るという感じではないが、新しい思想と出会い、自分の内面が塗り替えられていく感じがする。 今回読んだのは藤高和輝さんの『ジュディス・バトラー 生と哲学を賭けた闘い』 www.ibunsha.c…
読んだ本 マイケル・サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』ハヤカワ文庫 (2023) 松岡正剛『性の境界 千夜千冊エディション』角川ソフィア文庫 (2023) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 いよいよサンデル氏のこの本が文庫化され、コンパクトになり電車内で読みやすくなったので読んだ。 これも重厚な内容なのでいっきに読み進めることはできなかったが60ページほどは読み進んだ。 能力主義と親ガチャについては一般的に知られるようになったのか、この本の売り上げ数と文庫化の早さはそれを象徴しているように自分には見えた。日本のサラリーマンや学生はこ…
人は自身のジェンダーを一人で「行って」いるのではない。 たとえそれが想像上の他者でしかないとしても、人は常に、他者とともに、他者のために、「行って」いるのである。
* クィア・スタディーズとLGBTQ クィア・スタディーズとは性の多様性を考察する比較的新しい学問領域であり、とりわけセクシュアルマイノリティ(性的少数者)に関する論点を多く扱います。周知の通りセクシュアルマイノリティは近年において「LGBTQ」という「Lesbian レズビアン」「Gay ゲイ」「Bisexual バイセクシュアル」「Trancegender トランスジェンダー」「Queer/Questioning クィア/クエスチョニング)」の頭文字をつなげた言葉で呼称されるようになりました。こうした「LGBTQ」を理解する上で鍵となるのが「性的指向(Sexual Orientation …
読んだ本 ヘレン・プラックローズ/ジェームズ・リンゼイ『「社会正義」はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』早川書房 (2022) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 第四章「クィア理論」の終わりまで、139項まで読み終えた。 ここまで読むことによって著者が「クィア理論」や「ポストコロニアル理論」に対してどういう感情を抱いているのか理解できた。 これらの理論を俯瞰的に見ているようにみえるなかで「暴言」の類いも時々見受けられた。 これはい…
読んだ本 ヘレン・プラックローズ/ジェームズ・リンゼイ『「社会正義」はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』早川書房 (2022) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 久しぶりに読み進めた。 今日は第2章の初めから第3章の手前まで読み終えた。 ニューアカデミズムは1990年代頃に徐々に衰退。 しかし、形を変えて、つまりポストモダンの理論を応用させた「応用ポストモダン」が2010年代にかけてアクティビストたちによって幅を利かせた。 それら…
ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』幻戯書房 (2022) サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "彼がより賢明で、思慮深くなればなるほど、日々のパンを得る機会が減ってゆく。それなら、自分の深淵な書を窓から放り捨て、いくらか身を落として、長くてもせいぜい一か月で書き上げることのできる、かなり薄っぺらなくだらない小説を書いてみたらどうだ。そうすりゃ、称賛と報酬をほどよく期待できる。しかしピェールの心を貪り食うような深淵な思想が、今や彼の心の…
読んだ本 サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) 引用元:版元ドットコム ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』フィルムアート社 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "主体とは、個人が理解可能性を達成し、再生産するための言語学的根拠であり、その存在と行為能力の言語学的条件である。" (『権力の心的な生』P20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 バトラー『欲望の主体』に挫折してしまったが、『反「大学革命」論』のなかに書かれて…
フェミニズム、女性の性的消費について、女性の権利について、これに関する話題は定期的に盛り上がるね。こんな記事を見かけた。 b.hatena.ne.jpなるほど、「フェミニズムから離れていく若い女子」は何を考えているか?という問い。これを今日の記事の肴にするか。確かにこの記事で述べられている結論、 反対すべき理由があり、賛同すべき理由がないからです。私たちの利益を代弁していないからです。私たちの楽しみを奪うからです。女性当事者が多くいる領域でバッシングを行っていると認知されてきているから。 は、共感できる気もする。だけどもう1つある。フェミニズム離れの最も大きな原因だと思われる理由がある。それは…