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ジョン・マネー

(サイエンス)
じょんまねー

ニュージーランドで生まれ米国に移民した性科学者・心理学者。ジョンズ・ホプキンス大学で行ったトランスセクシュアリズム、インターセックス及びパラフィリアの研究で有名となる。生物学的・身体的な性を指す言葉「セックス」に対し、本人の性自認、性役割など社会的な側面を指す言葉として言語学上の用語であった「ジェンダー」という言葉を転用し世間に広めた。ところが、いったん広まった「ジェンダー」という言葉には、ロバート・ストーラーら他の性科学者やフェミニストの論客などによって様々な違った意味が与えられるようになっており、必ずしもマネーの理論を前提とはしていない。

インターセックスの子どもの発育研究から、マネーは「生まれて18ヶ月以内の子どもの性自認は中立であり、その間に養育上の性別と外性器の外見を一致させ、第二次性徴とともに適当な性ホルモンを処方すれば、生まれつきの性別とは無関係にその子の性自認を決定できる」と主張した。それに対し、ハワイ大学のミルトン・ダイアモンドらは、「インターセックスの子どもはもともと生物学的に中間だからこそどちらの性に育てる事もできるのであり、生物学的にはっきり男性もしくは女性として生まれた子どもにその理論を適用することはできない」と反論した。
1967年、そのマネーの元に恰好の患者が連れ込まれる。当時生後16ヶ月だった兄ブルース・ライマーと弟ブライアン・ライマーは双子の兄弟だが、割礼中に起きた事故によってブルースのペニスが焼き切られてしまう。弱り切った両親に頼られたマネーは、ペニスを失ったブルースに性転換手術を施してブレンダという女の子として育てるよう勧めた。手術は成功し、かねてから自分が主張していた通りブレンダはごく普通の女児として育っているとしてマネーはこのケースについて1975年に学術誌Archives of Sexual Behavior において報告し、世間の注目を集めた。

ところがマネーの結論に懐疑的なダイアモンドは、マネーの論文に登場する匿名のこの患者を独自に追跡調査し、ブレンダが14歳の時に自分の過去について真実を知り、その翌年以来デイヴィッドという男性として生活していたことを解明、1997年医学誌 Archives of Pediatric and Adolescent Medicine で発表する。 そしてそのことを報道 (New York Times, 03/14/1997) で知ったフリーランスライター、ジョン・コラピントがデイヴィッドにインタビューして出版した「As Nature Made Him」(邦題:ブレンダと呼ばれた少年 ISBN:4895859371)がベストセラーになり、マネーによる実験の失敗とその隠蔽が広く知られることになる。

また近年、マネーが確立したインターセックスの治療法について、医学的に不必要な外科手術を幼い子どもの性器に対して行うのは倫理的に間違っている、その子が物事を理解できるようになるまで待ってから本人が手術を希望するかどうかで決定すべきであるという批判がインターセックス当事者や倫理学者の間から高まっている。

これらの批判を差し引いても、性科学における学会である Society for the Scientific Study of Sexuality (SSSS) の会長を2年間務めるなど性科学界における長年の貢献は他の研究者から高く評価されており、良くも悪くも20世紀で最も影響力を持った性科学者の一人とされる。



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