John le Carré 作家、脚本家、プロデューサー、俳優
ベルン大学とオックスフォード大学を卒業後、イートン校で教鞭を取り、外務英連邦省に転職、MI6に配属となり、主に西ドイツの大使館、領事館にて外交官として勤務する。その傍ら、自身の経験を基に小説を書き始め、1969年に処女作『死者にかかってきた電話』を発表。1963年に発表した第3作『寒い国から帰ってきたスパイ』ではエドガー賞を受賞。以後、リアルで非情な諜報戦を背景としたスパイ小説の数々を発表する事となる。
冷戦が終わったとき、これでスパイ小説も終わった、とよく言われた。米英を中心とする資本主義諸国と旧ソ連を盟主とする共産主義諸国がイデオロギーの対立を掲げ、角突き合わせていたからこそ、米英ソの諜報合戦は関心を集めた。冷戦が終われば、スパイは仕事がなくなるだろうと皆が思ったのだ。当然、そんなことはなかった。ル・カレはその後もスパイ小説を書き続けた。ただ、重心の置き方は変わった。 英国情報部はオックスブリッジで部員をリクルートする。パブリック・スクール出身者が多く、家族や交友関係、本人の思想信条について調査するまでもないからだ。彼らは生え抜きであり、組織の頭、中枢になる人材である。代々諜報活動に従事す…
こちらに感想を書いています。 better-call-i.com
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介するのは小説「スパイたちの遺産」です。 この小説は、エスピオナージスリラーの傑作「寒い国から帰って来たスパイ」の続編、後日譚です。勿論、作者はジョン・ル・カレです。007のようなスパイアクションではありません。じっくりと読ませるサスペンススリラーになってます。 一部の読者の間では、ル・カレ・クオリティと言われるほど、緻密な描写で延々と書き綴られた作品、手に取ると驚かされることでしょう。ても、これが癖になるんです。ル・カレ先生は2020年に亡くなられているので、もう新作は読むことが出来ませんが、 含蓄ある文体なので、古い作品を…
『シルバービュー荘にて』2021年 ジョン・ル・カレ著 2021年12月22日読了 昨年、「スパイはいまも謀略の地に」が出版された後、著者が亡くなり、もう新作は読めないと思っていたため、今回、とてもうれしい。 相変わらずの感情的過ぎず、諦観したような、独特の比喩の多い文章である。一気に短時間で読んでしまいそうだったが、「遺作」ということで、いつも以上にゆっくりと読んだ。 2人の男性の視点を中心に、先が読めず、とてもおもしろかった。(少し短いせいか、物足りない気もするが) もう、新作が読めないのが大変悲しい。
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「裏切りのサーカス」(2011)です。ジョン・ル・カレがキム・フィルビー事件に題材を取った小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化です。 映画は、ジム・プリドー(マーク・ストロング)が深夜コントロール(ジョン・ハート)に会い指令を受ける。ハンガリーで亡命したがっている将軍に密会するために東欧に潜入するが失敗、拘束されてしまう。責任を取ってコントロールとスマイリー(ゲイリー・オールドマン)はサーカス(英国情報部)を去る。 やがて、コントロールは失意のうちに亡くなり、スマイリーは隠匿生活を送り始める。そ…
89歳だった。 大往生と言っていい年齢であり、最近では自叙伝や伝記が出版されたこともあって、いつしか自分の中でこういう日が来ることへの覚悟ができていた気がする。 初めて読んだル・カレの作品は『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』で、高校の図書館で借りて授業をサボって読んだ。 sundayrat.hatenablog.com 以前も書いたがこの本はフラッシュバックが多用される構成がわかりにくく、とにかくストーリーの筋を追うのに精一杯だった(ちなみに『ジョン・ル・カレ伝』によると、ル・カレはこの複雑なストーリーをプロットなしで書いていたようで、愕然とさせられる)。 それでも音を上げずに読み切…
浅香光代 さん 女優。 1931年(昭和6年)2月20日、生まれ。2020年(令和2年)12月13日、死去。 訃報 浅香光代さんが死去 俳優「女剣劇」: 日本経済新聞 「女剣劇」の俳優 浅香光代さん死去 「ミッチー・サッチー騒動」で話題も - 毎日新聞 浅香光代さん死去 92歳、女剣劇で人気:時事ドットコム 俳優の浅香光代さん死去 すい臓がん 92歳 女剣劇で一時代 | おくやみ | NHKニュース 浅香光代さんが死去 92歳、女剣劇のスターとして人気:朝日新聞デジタル 浅香光代さんが死去 92歳、膵臓がん…浅草を中心に「女剣劇」で活躍:東京新聞 TOKYO Web 浅香光代さん死去 膵臓がん…
「演じる」ことはこの作品で何を意味しているのか、はっきり示されたエピソードでした。第4回「幕開け」です。 前回、テロリストの恋人役として爆弾を運ぶ作戦についた女優チャーリー(フローレンス・ピュー)。パートナーのギャディ(アレクサンダー・スカルスガルド)が見守るなか、目的地に到着しました。そして事態が動きます。 この投稿をInstagramで見る Florence Pugh(@florencepugh)がシェアした投稿 - 2018年10月月5日午前7時49分PDT ジョン・ル・カレ先生の出演シーンです サリムをより身近に感じることになるチャーリー 「テロはまさに劇場だ」 ジョン・ル・カレ先生の…
談笑中の白髪の紳士(中央)は、原作者ジョン・ル・カレ様です。右はギャディ役アレクサンダー・スカルスガルド。3枚目と5枚目にも登場します。 この投稿をInstagramで見る The Little Drummer Girl(@drummergirlshow)がシェアした投稿 - 2018年11月月13日午前6時30分PST (なに話してるんでしょう? 特に5枚目) カメオ出演を楽しんでいるル・カレ先生。これまでにも、トム・ヒドルストンのドラマ「ナイト・マネジャー」や ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、マーク・ストロングらの映画「裏切りのサーカス」(2012)、フィリップ・シーモア・ホフマ…
★★★★☆ あらすじ 冷戦下のイギリスの秘密情報部、通称サーカスで長官の右腕を務める男は、作戦失敗の連帯責任で辞任させられるが、その後、監視役から組織内の裏切り者を探すよう要請される。原題は「Tinker Tailor Soldier Spy」。 感想 派手な展開はないが緊迫感が保たれた重厚な展開。説明的なセリフはほぼ無く、しっかりと見ていないと置いてけぼりにされてしまう。 スパイを探す主人公を演じるゲイリー・オールドマンの覇気のないような枯れた雰囲気が、有能なベテラン感を感じさせる。物静かに冷静に敵に迫っていく。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []…
全4項目 ●代表作 ●「大アンケートによるミステリーサスペンス洋画ベスト150」より11本 ●「大アンケートによる男優ベスト150」より15本 ●「hayakawabooks.com」の「沈黙を守った日々は「しかるべき十三年間」だったーー原尞、『それまでの明日』刊行記念インタビュー全文」より8本 「狼は天使の匂い」より 全4項目 ●代表作 小説「探偵・沢崎」シリーズ、 ・「そして夜は甦る」「私が殺した少女」、 ・「天使たちの探偵」「さらば長き眠り」、 ・「愚か者死すべし」「それまでの明日」等 フリージャズ・ピアニストとして始まり、その後に小説家 等で活躍する原尞(原りょう/原リョウ)が影響を受…
帯には「ジョン・ル・カレ×クリストファー・プリースト」とありますが、まさにそんな作品です。 舞台となっているのは近未来のヨーロッパなのですが、経済問題や難民問題、さらに「西安風邪」と呼ばれるパンデミックが起こったことで、人口が減少し、国境管理が再び厳しくなっています。 さらに機能不全に陥ったEUのもとでマイクロ国家が次々と独立し、都市だけでなく、宗教団体や過激なサッカーファンまで独立し、さらには観光収入をもとに国立公園も独立を狙っています。 また、ポルトガルのリスボンからシベリアのチュコトカまで伸びる大陸横断鉄道も独立して〈ライン〉と呼ばれる国家を形成しています。 2016年のBrexitや2…
Mのおススメ第二弾『裏切りのサーカス』を鑑賞。 原作は東西スパイ小説ならお手のものジョン・ル・カレ。 70年代東西冷戦時代のソ連の二重スパイ(モグラ)を西側の視点で探すというサスペンス映画です。緻密な構成で集中しないと理解が難しいかもしれません。面白すぎてあっという間の2時間10分でした。 俳優陣も豪華、ゲイリー・オールドマン、コリン・ファース、今をときめくトム・ハーディ(唇がセクスィー)とベネディクト・カンバーバッチ、あとはトビー・ジョーンズ、ジョン・ハートと全て劇渋英国俳優陣。 流れるようなオープニングクレジット 手に汗握る心理戦に最後までハラハラドキドキしましたねえー。今回は少しの情報で…
漫画『鬼はよく燃えているか』、小説『占星術殺人事件』からのトリックパクリ疑惑が浮上し、Twitter上から削除される https://togetter.com/li/1921668 アマゾン、2022年は全国18カ所に配送拠点を新設--「置き配」対象県拡大 https://japan.cnet.com/article/35191041/ 物量に圧倒される紀伊國屋書店「今日の新刊」コーナー話題に すさまじい手間でも続ける理由と思いを聞いた https://news.nicovideo.jp/watch/nw11219843 神保町「三省堂書店 本店」一時閉店で知るさらなる嘆きと、第二章へ :: …
ヨーロッパ・イン・オータム (竹書房文庫)作者:デイヴ・ハッチンソン竹書房Amazonこの『ヨーロッパ・イン・オータム』は本邦初紹介のイギリス作家デイヴ・ハッチンソンによるSFスパイ長篇となる。本作は西安風邪の蔓延によってEUが崩壊し、みながみな好き勝手に小国を設立するようになったカオスなヨーロッパを舞台にしたその先見性のある内容と巧みな筆致も相まって(刊行は2014年)著者の出世作となり、〈分裂ヨーロッパ〉シリーズとしてその後も続篇・スピンオフが続いている作品である。EUが崩壊し小国が乱立するようになったヨーロッパを舞台にしたスパイ小説、それもジョン・ル・カレ✗クリストファー・プリーストと評…
全4項目 ●代表作 ●「キネマ旬報」の「映画遺産200 日本映画篇(2009)」より10本 ●「映画遺産200 外国映画篇(2009)」より10本 ●著書「人を惹きつける技術」より11本 「座頭市」シリーズより 全4項目 ●代表作 漫画原作&映画脚本「子連れ狼」シリーズ、 映画脚本「御用牙」、 漫画原作「クライング フリーマン」、 「傷追い人」「マッド★ブル34」、 「オークション・ハウス」、 「首斬り朝」「半蔵の門」、 「弐十手物語」シリーズ、 「修羅雪姫」、 〃脚本「ゴルゴ13」初期 等 小島剛夕、池上遼一、井上紀良、叶精作、神江里見、上村一夫、さいとう・たかを といった漫画家たちと組み漫…
どこへいこうか? 本の世界は広い 無事のお帰りをお祈りします。 本の彷徨い方 *時間軸、世界線は保証しかねます。 スイス連邦(スイス/瑞西/瑞) あ 狼の口 ヴォルフスムント 久慈 光久➡14世紀初頭、アルプス地方。イタリアへと通じるザンクト=ゴットハルト峠 か 霧の会議 松本 清張➡ホーエンクリンゲン城、フラウエンフェルト 黒の回廊 松本 清張➡ユングフラウヨッホ、グリンデルヴァルト さ 最後の事件 The Final Problem(「シャーロック・ホームズ」シリーズ) コナン・ドイル➡ライヘンバッハの滝 スマイリーと仲間たち Smiley's People ジョン・ル・カレ 聖獣配列 松…
プライムデー期間(~2022/7/13)にセールの本から。 紹介したものはすべて50%オフ対象。 買った本 宝樹『時間の王』 時間の王作者:宝樹早川書房Amazon劉慈欣『三体』の公式二次創作の著者によるSF短編集。待ってこれめちゃくちゃ面白そう。宝樹『時間の王』、買います。 pic.twitter.com/zN3TXh07OK— 🌱 (@tnhby) 2022年6月21日 曹操好きなので。そういえばアニメ『パリピ孔明』面白かったですね。第二期作ってほしいな。 ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』(上下巻) ファスト&スロー (上)作者:ダニエル カーネマン,村井 章子早川書房Amazon…
デイヴ・ハッチンソン『ヨーロッパ・イン・オータム』(内田昌之訳、竹書房文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 ジョン・ル・カレ×クリストファー・プリースト!! 包丁と諜報の二刀流でマイクロ国家が乱立する欧州を飛び回る、驚愕のSFスパイスリラー www.takeshobo.co.jp
録画していた『寒い国から帰ったスパイ』(1966年/監督:マーティン・リット)を観る。007の大ヒットでスパイ・アクションがブームになる中、ジョン・ル・カレの本格スパイ小説を原作にしたシリアスなスパイ映画です。 MI6の諜報員リーマス(リチャード・バートン)は東ドイツに潜入。東ドイツの諜報機関を牛耳るムント(ペーター・ヴァン・アイク)は英国の二重スパイですが英国を裏切ったと思われたからです。ムントの部下で、冷徹な防衛本部長フィードラー(オスカー・ウェルナー)を利用してムントの抹殺を計画。フィードラーはユダヤ人で、ナチ出身のムントを憎み、その地位の失脚を狙っていたからです。報われないことから国に…
随分前の関川夏央さんの随筆「やむを得ず早起き」に、 「1989年 東西冷戦が終わって ジョン・ル・カレやフリーマントルが失業した。ゴルゴ13も失業してしかるべきだが、なぜか まだ働き続けている」…と書いてあり、ご最もだと思いました。しかし、まさかまさかの東側ロシアが西側ウクライナを侵略してきました。ウクライナ周辺にロシア軍が集結しているという嫌な情報は去年末から入ってきましたが、それでもこの21世紀に誰が本当に侵略戦争してくるなんて予知したでしょう。これが戦争なんですね。奇襲攻撃です。戦後平和民主議教育の申し子のボクらはインターネットの世界で、ベトナム戦争以上に戦争を間接的に実感しています。ロ…
『ティンカー テイラー ソルジャー スパイ』1974 ジョン・ル・カレ 人物相関図 PDF ティンカー テイラー ソルジャー スパイ.pdf - Google ドライブ
『寒い国から帰ってきたスパイ』 1963 ジョン・ル・カレ 人物相関図 PDF 寒い国から帰ってきたスパイ.pdf - Google ドライブ
1931にイギリスで生まれたDavid John Moore Cornwell(本名)は63年に初めてスパイの長編小説を書き上げた。その二年前にジョン・ル・カレと言う作家名で書いた”死者にかかってきた電話”が本当のデビュー作だが63年の”寒い国から帰ったスパイ”が大ベストセラーになってしまい二作目が処女作とされているのだ。 2020年に89歳で亡くなるまでに多くのスパイ小説を書いているのだが映画化、テレビでのシリーズ化された作品は半端なく多い事でも知られている。 以下の作品群は何れも映画化され上々の評価を得ているのだが中でも”寒い国から帰ったスパイ”(リチャード・バートン主演)、”ロシア・ハウ…
やはりこの映画は素晴らしい、、1963年に出版されたジョン・ル・カレ原作の”The Spy Who Came In From The Cold”の映画化で主演がリチャード・バートンで恋仲になる女性がクレア・ブルーム、、監督はマーティン・リットで時代は英国とソ連が激しく対立していた頃の冷戦下、まさにリアルタイムの背景だ。 映画の冒頭は東ベルリンのチェックポイントチャーリー、西と東を繋ぐ境界線でリーマス(R・バートン)は東側から逃げて来る東ドイツ政府の高官、リーメックが亡命して来るのを待っている。やっとその姿を認め受け入れる準備をしている最中、リーマスの目の前で東側の諜報部によって射殺されてしまう…