John le Carré 作家、脚本家、プロデューサー、俳優
ベルン大学とオックスフォード大学を卒業後、イートン校で教鞭を取り、外務英連邦省に転職、MI6に配属となり、主に西ドイツの大使館、領事館にて外交官として勤務する。その傍ら、自身の経験を基に小説を書き始め、1969年に処女作『死者にかかってきた電話』を発表。1963年に発表した第3作『寒い国から帰ってきたスパイ』ではエドガー賞を受賞。以後、リアルで非情な諜報戦を背景としたスパイ小説の数々を発表する事となる。
さて、皆さん所謂スパイと言う人たちとは全く縁遠いと思いますが、、、。 企業スパイというのは結構居たりするものです。 昔々ある企業の海外拠点の営業担当者が、顧客企業の中のエンジニアに裏金を渡して、競争相手の価格情報を入手していました、、、、、。その会社では顧客に提出する見積価格の基となる原価等も社内メールでやりとりしており、当該の裏情報も同じように社内メールでやりとりしていましたが、ある日この営業担当者は、忙しかったからか、何か他の考え事をしていたのか、この原価情報や、その下に連なる裏情報に関するやりとりまで含めて、見積提出の際に、うっかり顧客企業にそのまま転送してしまいました。営業担当者は顧客…
死者にかかってきた電話 (ハヤカワ文庫 NV 188) 作者:ジョン・ル・カレ 早川書房 Amazon 著名な作家のマイナーなデビュー作を読むのは楽しい。シリーズ物となれば尚更だ。よく知っているキャラクターたちの若いころの(つまり、初登場時の)姿が新鮮でおもしろい。 たとえばジョージ・スマイリーは後のシリーズと変わらず、いつも通り冴えない。なんせ「身分違いの美女と結婚した」と社交界で陰口を叩かれている、そんなエピソードから物語が始まるほどで、スマイリーがいかに冴えないかという描写にル・カレはやたらと力を入れている。嗜虐的なほどだ。 しかし中盤で、そんなスマイリーがソリの合わない上司(のちのシリ…
2023年6月30日 ジョン・ル・カレの遺作「シルバービュー荘にて」を読みました。 前作の「スパイは今も謀略の地に」がハードボイルド度90%だとしたら、こちらはハードボイルド度は20~30%くらいでしょうか? そもそも主人公がスパイですらない、、、、、('◇')ゞ ですが小説としてはとても良く出来ています。 ル・カレは1950年代~1960年代初頭までイギリスの情報部で実際に勤務していたらしい。で、1963年にソ連の二重スパイだと発覚したキム・フィルビーがモスクワに亡命後ソ連当局にバラした英情報部員の名前の中にル・カレの名前も含まれていた為、それ以上情報部員としては活動出来なくなったのだ、、と…
2023年3月23日 先日買ったジョン・ル・カレの「スパイは今も謀略の地に」を読んでいます。この手の小説を読むのは久しぶり。(・'v`・) ル・カレ、いつの間にか亡くなっていたんですね。2020年12月12日に肺炎で亡くなったと言う事なので、ひょっとしたらコロナだったのかも、、、、。 映画化された作品もありますね。 「ナイロビの蜂」とか「裏切りのサーカス」とか。 映画もどちらも面白かった。 で、 スパイ小説の一部もハードボイルドだと思う(・'v`・) 普通はハードボイルドと言えば推理小説、探偵小説の一部のジャンルの事を指しますが、、、、。主人公がタフガイで、常に感情に流されず、客観的な視点で周…
★★★★☆ あらすじ 妻と共にモロッコで休暇を過ごす男は、現地で知り合ったロシアのマフィアの男からUSBメモリを託され、帰国後、英国諜報機関MI6に渡すよう頼まれる。 感想 序盤は、世間知らずの大学教授の主人公が、ロシアのマフィアに騙され、犯罪に利用されてしまう物語なのかと冷や冷やしてしまった。だが実際は、組織が代替わりして身の危険を感じたマフィアの男が、家族と共に亡命しようと必死に主人公にすがりついていたことが分かってくる。 しかし身の危険を感じる状況だったにもかかわらず、マフィアの男は何事もないかのように派手に娘の誕生日パーティーを開いたりしていて強心臓だ。だがそうやって普段通りの姿を見せ…
冷戦が終わったとき、これでスパイ小説も終わった、とよく言われた。米英を中心とする資本主義諸国と旧ソ連を盟主とする共産主義諸国がイデオロギーの対立を掲げ、角突き合わせていたからこそ、米英ソの諜報合戦は関心を集めた。冷戦が終われば、スパイは仕事がなくなるだろうと皆が思ったのだ。当然、そんなことはなかった。ル・カレはその後もスパイ小説を書き続けた。ただ、重心の置き方は変わった。 英国情報部はオックスブリッジで部員をリクルートする。パブリック・スクール出身者が多く、家族や交友関係、本人の思想信条について調査するまでもないからだ。彼らは生え抜きであり、組織の頭、中枢になる人材である。代々諜報活動に従事す…
こちらに感想を書いています。 better-call-i.com
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介するのは小説「スパイたちの遺産」です。 この小説は、エスピオナージスリラーの傑作「寒い国から帰って来たスパイ」の続編、後日譚です。勿論、作者はジョン・ル・カレです。007のようなスパイアクションではありません。じっくりと読ませるサスペンススリラーになってます。 一部の読者の間では、ル・カレ・クオリティと言われるほど、緻密な描写で延々と書き綴られた作品、手に取ると驚かされることでしょう。ても、これが癖になるんです。ル・カレ先生は2020年に亡くなられているので、もう新作は読むことが出来ませんが、 含蓄ある文体なので、古い作品を…
『シルバービュー荘にて』2021年 ジョン・ル・カレ著 2021年12月22日読了 昨年、「スパイはいまも謀略の地に」が出版された後、著者が亡くなり、もう新作は読めないと思っていたため、今回、とてもうれしい。 相変わらずの感情的過ぎず、諦観したような、独特の比喩の多い文章である。一気に短時間で読んでしまいそうだったが、「遺作」ということで、いつも以上にゆっくりと読んだ。 2人の男性の視点を中心に、先が読めず、とてもおもしろかった。(少し短いせいか、物足りない気もするが) もう、新作が読めないのが大変悲しい。
レタントンローヤル館(八重垣)にお出で頂き有難うございます。今日ご紹介する映画は「裏切りのサーカス」(2011)です。ジョン・ル・カレがキム・フィルビー事件に題材を取った小説「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」の映画化です。 映画は、ジム・プリドー(マーク・ストロング)が深夜コントロール(ジョン・ハート)に会い指令を受ける。ハンガリーで亡命したがっている将軍に密会するために東欧に潜入するが失敗、拘束されてしまう。責任を取ってコントロールとスマイリー(ゲイリー・オールドマン)はサーカス(英国情報部)を去る。 やがて、コントロールは失意のうちに亡くなり、スマイリーは隠匿生活を送り始める。そ…
*随時更新 運命のキスは柔らかな雨のように (仮) (ラズベリーブックス) ジュリア・クイン 2024/6/10 竹書房 *再 →感想 伯爵家から落ちた月 (mirabooks) キャンディス・キャンプ 2024/6/14 ハーパーコリンズ・ジャパン A Rogue at Stonecliffe (The Stonecliffe, 2) Camp, Candace 2023 Canary Street Pr 蒼の略奪者 (mirabooks) イローナ・アンドルーズ 2024/6/14 ハーパーコリンズ・ジャパン *再 あなたに片思い (mirabooks) スーザン・マレリー 2024/6/…
歩道橋とか地下道とか消えつつありますよね 国道2号線の地下隧道。 近くに行く機会があったので、初めて潜ってみました。 入口です。ド逆光… 場所は神戸臨港線跡と国道2号線の交わるところ。 朝早かったので人通りが無くてイイ感じでした。 階段は細く急なのが昭和的です 幅も狭くて自転車用のスロープも無い、昭和標準仕様ながらも現在ではなかなか厳しい仕様です。 治安が悪いのかゴミもちらほら落ちてます。 蛍光灯がチョット怖い雰囲気です トンネル内の照明は蛍光灯。 まだ寒い頃なので蜘蛛の巣や虫の死骸が無いのが救いですが、夏場は結構ヤバいことになりそうです。 段差があって狭いトンネル。気を抜いたら天井にアタマ当…
www.thecinema.jpスパイ小説で有名なジョン・ル・カレ(「裏切りのサーカス」、「誰よりも狙われた男」など)の原作小説を映画化した作品。 イギリス人の大学教授ペリーが、家族ぐるみで命を狙われているロシア人マフィア、ディマからイギリスへの亡命の手伝いを依頼されたことから問題へ巻き込まれる様子が描かれます。 マフィアの亡命を依頼されたイギリス人教授の奮闘が見どころ。亡命計画を進めていくワクワクと、追いつめられていくスリルが面白さを演出しています。 主演は『トレインスポッティング』でも有名なユアン・マクレガー、亡命を依頼するロシア人をステラン・スカルスガルドなど、名優が作品のドラマ性を高め…
梅が散っている。鼻水とのどの違和感とそこはかとない悪寒があり、毎年のことながら、風邪をなのか花粉症なのか更年期なのかよくわからずにいる。せいちゃんが帰ってくるというので、朝のうちにふとんを全部ベランダにほして、庭でうっすら砂ぼこりをかぶっていた自転車を水拭きした。電話越しのせいちゃんは顔がまるくなっている。 孤独のレッスン (インターナショナル新書) 作者:齋藤 孝,中条 省平,奥本 大三郎,南條 竹則,鈴木 雅生,岸見 一郎,新元 良一,適菜 収,下重 暁子,岸 惠子,田中 慎弥,高村 友也,林 望,荒木 飛呂彦,石戸 諭,吉川 浩満,角幡 唯介 集英社インターナショナル Amazon 卜。…
・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー ・『裏切りのコードネーム』イーヴリン・アンソニー ・『殺意のプログラム』イーヴリン・アンソニー ・『緋色の復讐』イーヴリン・アンソニー ・ウクライナとナチス親衛隊・『第三次世界大戦はもう始まっている』エマニュエル・トッド・ミステリ&SF レプキンは仕事に打ち込んだ。細部にまで神経が行き届くことが自慢で、とくに問題を感知する第六感に優れていた。ここ3回…
雪、のち晴れ。5度。7時に起きる。朝餉は、蜂蜜とヨーグルトをかけたバナナ、卵とじの煮物(ハム・キャベツ・ほうれん草・玉葱・人参・カニカマ)、味噌汁(玉葱・人参・油揚げ・豆腐・小松菜)、ブルーベリージャムのトースト、アールグレイ。食後にコーヒー。 ジョン・ル・カレ『地下道の鳩』より—— 情報部は言い返さないと書いたが、スパイ機関がこれほど国内メディアに甘やかされている国は、西半球のどこにもないと思う。彼らが職務に精通していることは、言いわけにはならない。自主規制にしろ、不明確で厳格な法律にもとづくにしろ、わが国に存在する検閲体制や、適法性が疑われる全面的な監視体制にイギリス国民がうまくなじみ、こ…
・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー ・『裏切りのコードネーム』イーヴリン・アンソニー ・『殺意のプログラム』イーヴリン・アンソニー ・女の嫉妬が燃え盛るマフィア小説・『聖ウラジーミルの十字架』イーヴリン・アンソニー・ミステリ&SF 「誓うか?」と司祭が聞いた。 「一族の名誉にかけて」 このことばで誓われた約束は必ず守られる。【『緋色の復讐』イーヴリン・アンソニー:食野雅子〈めしの・まさ…
登場人物がたくさん出てきて、かつ、それがファーストネームやファミリーネーム、あるいはニックネームや喩えで書かれたりするので、最初の1/3くらいまでは全く頭に入らず、メモをとりながらそこまで読み直した。 メモを片手に読み進んでようやく登場人物が頭に入るようになって、話も展開し始めて、後はもう読むのが止まらないくらいだった。 同じジョン・ル・カレ原作の映画「寒い国から帰ったスパイ」もそうだったが、アクションは全くなくスパイ組織の暗闘を組織内の力学、構成員の人間臭さを交えて精緻に描いていると思わせるところが良い。 登場人物の長い一人語り、少し回りくどい隠喩なども読み応えがあった。
・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー ・『裏切りのコードネーム』イーヴリン・アンソニー ・女性情報部員ダビナシリーズの完結篇・『緋色の復讐』イーヴリン・アンソニー ・『聖ウラジーミルの十字架』イーヴリン・アンソニー・ミステリ&SF 「そうかもしれない。でもいつか、わたしがしたと同じことをしなければならないときが来る。そのときどうしますか? わたしを非難する前に、そのことを考えてみてくださ…
・『寒い国から帰ってきたスパイ』ジョン・ル・カレ ・『消されかけた男』ブライアン・フリーマントル ・『裏切りのノストラダムス』ジョン・ガードナー ・『女性情報部員ダビナ』イーヴリン・アンソニー ・『ワシントン・スキャンダル』イーヴリン・アンソニー ・二重スパイのスカウト・『殺意のプログラム』イーヴリン・アンソニー ・『緋色の復讐』イーヴリン・アンソニー ・『聖ウラジーミルの十字架』イーヴリン・アンソニー・ミステリ&SF 「そうだ、思い出したよ。そいつは柄(がら)の大きいやつで、言うことに説得力があった。『あんたは何も知らないんだね』そう言われた。『安月給に甘んじることが国への忠誠だと思っている…
読書が計画通りに行きません。無念です。でももう、しょうがないかなと諦めてもいます。日本語日本文学専攻のわりに読むのが遅く、せいぜい週に二冊というところなので、あまり欲張って計画倒れが重なるのも切ないです。今年は一層、快適さ重視で読書を楽しみたいです。 2023 年はよい本を読めました。「なんだかなー」と思うような本は一冊しかありませんでした。運が良かったです。今後も運頼りにどんどん読みたい。 以下、印象に残った本の読書メモです。 🚋 金井真紀『日本に住んでる世界のひと』、岡真理『ガザに地下鉄が走る日』🚋 2024 年最初に見た映画は『イミテーション・ゲーム』(2014 モルテン・ティルドゥム)…
ドイツの小さな町〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 作者:ジョン ル・カレ 早川書房 Amazon 舞台となるのは反英感情が高まり、デモ行進やナショナリストの指導者のポスターが町中に張り出されている西ドイツの街、ボン。 そのボンでイギリス大使館の職員、リオ・ハーディングが失踪する。彼は敵国の二重スパイだったのか? 調査のため公安部の調査員アラン・ターナーがイギリスから派遣され、大使館の人間たちに聞き込みを行いハーディングの行方を探ろうとする。しかしその背後には各国の思惑が絡んだ陰謀が隠されており──。 物語の大半はボンを訪れた調査官ターナーによる、ハーディングの同僚たちへの尋問で占められる。 最初に…
われらが背きし者作者:ジョン・ル・カレ岩波書店Amazon カリブ海の朝7時、試合が始まった――。一度きりの豪奢なバカンスが、ロシアン・マフィアを巻き込んだ疑惑と欲望の渦巻く取引の場に! 恋人は何を知っているのか、このゲームに身を投げ出す価値はどこにあるのか? 政治と金、愛と信頼を賭けた壮大なフェア・プレイをサスペンス小説の巨匠ル・カレが描く、極上のエンターテインメント。 『プリンセス・プリンシパル』というアニメをご存知だろうか。2017年に放送されたTVアニメで、19世紀末のロンドンを舞台に繰り広げられるスチームパンク&スパイものであるが、主人公の女の子の名前が「アンジェ・ル・カレ」なのだ。…
2023年の活動報告です。 今年はBL入門の年だったように思う。よしながふみの『大奥』を読んで、角川ミュージアムの『はじめてのBL展』に行って、山岸涼子の『日出処の天子』を読んで、池袋ジュンク堂で溝口彰子さんと高島鈴さんのBL研究トークイベントを聞いて、そしてはじめての国際シンポジウムはなんと「タイBL」(GMMTVを中心としたYaoiドラマ)。その後に観た北野武の新作『首』もめちゃくちゃゲイ戦国もので、クィアなフィクションを求めていた一年でした。あ、あとこの12月から来年の2月にかけてNHKカルチャーのオンライン講座「映画で読み解くクィア」も受講しています。 自分の論文でも引用したけど、昨年…
本を読まないと夜をやり過ごせない、という記事を書いてからかれこれ2年半ほどが経った。 これを書く前から本を読み漁るようになっていたので、溺れるように読書にのめり込んでからざっくり3年ということにする。あの頃ほど読書に没頭してはいないが、今もKindle Paperwhiteで本を読みまくっていることは確かだ。(没頭していない、とは?) で、文字に溺れ出してから現在に至るまで、結局どれくらいの物量を読んだのか数えてみたくなった。ミステリやフィクションに絞り、人文科学系は省く。 どのみち今週はボルダリングには行けず、他の家事をやる気力もないので逃避行動に走ることにする。理由は前回の記事に。 冊数も…