冒険者ジンプリチスムス 余は不死鳥の如く炎より生まれぬ。宙を飛翔せるが,何も失われぬ。余は海を渡り歩き,其処彼処(そこかしこ)陸(くが)を彷徨い行かん。かかる周りに群がることどもを余は知らしめん。悲しませるもの数多(あまた)あれど,楽しませるもの希(まれ)なり。其は如何なりき?余が此の書物へしかと記したり。これもて読者諸氏,余の如くさあ為すべし,愚を遠ざけ,安寧に生くべし。 Hans Jakob Christoffel von Grimmelshausen (1622-1676)の有名な小説で,現在でも唯一読み継がれているドイツバロック小説『阿呆物語』の表紙の文章を訳してみた。以下原文。 Ab…