『火垂るの墓』という映画がある。原作は野坂昭如さんの小説で、高畑勲さんが脚本と監督を務めた。 © 野坂昭如/新潮社, 1988 1988年に公開され、『となりのトトロ』と同時上映だった。ぼくは映画館で観てはいないのだけど、この2本を同時に観るというのはなかなかハードボイルドだと思う。情緒がおかしくなりそう。 さて、『火垂るの墓』だが、公開後も繰り返しテレビで放送されるので、観たことある方も多いのではないだろうか。『火垂るの墓』は戦時中の兵庫(神戸、西宮)が舞台で、戦争の状況はもちろん描かれており、「戦争の悲惨さを訴える反戦的作品」という文脈で語られることがある。もちろん、そういった見方は十分に…