1. 心霊および精神科学に関わること。
Geoffrey K. Nelson, ‘The Spiritualist Movement and The Need for a Redefinition of Cult’ (JSSR: 8-1, pp.152-160 1969) によると、スピリチュアリズムは1848年にアメリカで始まり、1852 年にはイギリスに紹介される。その思想は、全体として同質性に欠けており、中心的組織を持っていない。スピリチュアリズムを信奉するスピリチュアリストには、以下の二つの基準があるという。まず「人間のパーソナリティーは肉体の死後も生き続けることを信じており、そのことは 証明されうると考えている。」ということ。次に「死者の霊と交信することは可能であると信じており、またその交信に参加する。」という事。
具体的には、つのだじろう著「うしろの百太郎」などに描かれた世界観が解りやすい。
2. フランス・スピリチュアリスムのこと。
それを一意的に定義する事は困難であるが、メーヌ・ド・ビランの影響下に生じた思想と解しておく点に於いては、諸説共通するところのものである。この思想運動には、ビランをはじめ、ラヴェソン、ラシュリエ、ベルクソン、ブロンデル、リクールらが関わっているが、彼らの中には自信がスピリチュアリストであることを否定するものもいた。それはビランの功績が、クーザンの影響で、正当に評価されなかった事に一因があるといわれている。詳細は岩田文昭「フランス・スピリチュアリスムの宗教哲学」に詳しい。同書によるとその単語の起源は、以下のようであるという。
「ブロンデルの指摘によれば、スピリチュアリスムという単語そのものは十七世紀の神学者のテキストに登場する。しかしそこでは否定的な意味で用いられているに過ぎない。……(中略)……しかし十八世紀の後半には、スピリチュアリスムの後半には、スピリチュアリスムが形而上学の実体に関わる言葉として、「唯物論」(materialisme)と対比される仕方で用いられるようになった指摘である。」