【読了】村上春樹『スプートニクの恋人』――あちら側とこちら側の狭間で、自分を探す旅 村上春樹さんの『スプートニクの恋人』を読み終えました。 村上春樹お得意の、あちらの世界とこちらの世界、あるいは本当の自分ともう一人の自分といった、人間の心理や内面の深層をじっくりと掘り下げていく濃密な作品でした。 1. 決して交わらない三つ巴の軌道 物語の中心となるのは、「ぼく」、すみれ、そしてミュウという異なった性質を持つ三人です。 彼らの関係性は、まるでそれぞれの軌道を巡り続ける人工衛星のよう。互いに強く惹かれ合いながらも、抱える背景や心の向き先が異なるため、決してひとつに溶け合うことができません。 誰もが…