→ジジェク
「月曜から夜ふかし」というテレビ番組は悪趣味だが面白い。素人の一般人にフォーカスを当てているけど、「笑ってコラえて」よりも毒がある印象がある。アイデンティティは、他者や環境による押しつけの影響を多分に受けるが、この番組はその押しつけがどきつい。赤羽や小岩での路上インタビューを取り上げる際、番組が求めるラベリングに合致する人が取り上げられる。赤羽や小岩らしさが無い人は排除され、赤羽や小岩の街のイメージとの同一化が果たせている人を積極的に取り上げて笑いに変える。京都と滋賀、大宮と浦和など、街同士の対立構造をより煽れる人選によって番組は構成される。2022年4月18日の放送「街行く人のリアル孤独のグ…
この曲、多くの人に支持され、2022年4月21日現在、youtubeで6500万回以上再生されまくっている。今日はこういったJ-POPが支持される理由についてを説明したい。まず、この図を見てくれ。これは欲望のグラフの第2図だ。 (引用元:ジャック・ラカン『精神分析の四基本概念』) これだとわかりにくいから、事前に「魔法の絨毯」ブームの現象について書き込みをしておく。 これで説明がしやすくなった。まず、ベクトルの出発点は、右下の$(斜線を引かれたS)で、主体はA(象徴界における他者)に<i(a)=想像的同一化>という運動を行う。象徴界ってのは、我々が現在、住んでいる世界のことよ。資本主義的イデオ…
一条真也です。8日の東京都の新規感染者数は248人でした。広瀬すず、ドナルド・トランプまで感染して、「本当に誰でも感染するんだな」と思った人は多いでしょうね。もはや、ロシアン・ルーレット状態です!『パンデミック』スラヴォイ・ジジェク著、斎藤幸平監修・解説、中林敦子訳(Pヴァイン)を読みました。サブタイトルは「世界をゆるがした新型コロナウイルス」です。ラカン派精神分析で文明批判を試みる著者の緊急出版で、コロナ禍を精神分析しています。著者は、1949年スロヴェニア生まれ。哲学者。リュブリャナ大学社会科学研究所上級研究員、ロンドン大学バークベック人文学研究所インターナショナル・ディレクター。哲学や政…
展覧会『熊谷亜莉沙「私はお前に生まれたかった」』を鑑賞しての備忘録ギャラリー小柳にて、2022年4月16日~6月25日。 9点の絵画とそれぞれに付された文章から成る、熊谷亜莉沙の個展。 《You or I》(1950mm×970mm)は、暗闇の中に浮かび上がる、頭部の欠けた陶製の豹を写実的に描いた作品。右耳、額、上顎などが欠落し、釉薬によりつやつやとした赤い口腔下部とそれを取り巻く歯、そして豹の体内へ続く空洞が目を引く。縦長の画面の上半分弱は漆黒で、画面下端は豹の前肢の付け根の当たりで途切れている。作品の脇には、「大勢の神様の顔横並べ一つ選んであなたがいい(Of all the subject…
天才成田悠輔が中学生時代の悩めるかわいそうな弟に薦めた本をまとめてみた。 『精神の氷点』(大西巨人) 『抱擁家族』(小島信夫) 『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(中原昌也) 『趣都の誕生 萌える都市アキハバラ』(森川 嘉一郎) 『人間この劇的なるもの』(福田恆存) 『堕落論』(坂口安吾) 『の思考』(柄谷行人) 『歴史の終わりを超えて』(浅田彰) 『スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護』(蓮實重彦) 『仏教者の戦争責任』(市川白弦) 『人間であるという運命』鶴見斉 『狭山事件の真実』(鎌田慧) 『キリスト教思想への招待』(田川建三) 『なぜカルト宗教は生まれるのか』(浅見定雄) 『痛快!憲法…
●概要 ●ミュージシャン等17名 ●漫画家58名 ●ゲームクリエイター14名 ●小説家 等66名 ●哲学者1名 ●ファッションデザイナー3名 ●写真家2名 ●映画サイト運営者 ●概要 現在156名分のリストを掲載。 このコーナーは「映画人のオールタイムベスト(個別)」に掲載した以外の漫画家、アニメーター、ゲーム開発、シンガー、作曲家、小説家、その他クリエイターが影響を受けた映画のリストをまとめた掲載先のリンク集です。 ・●●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ・●●●●・ ※数字をいじるとリンクが機能しなくなるので注意 ●シンガー、ミュージシャン等9名 ・マイケル・ジャクソン・ ・マドン…
展覧会『浜口陽三、ブルーノ・マトン展―ひとつ先の扉』を鑑賞しての備忘録ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクションにて、2022年1月15日~5月8日。※当初会期4月3日までを延長。 浜口陽三の銅版画(主にメゾチントとカラーメゾチント)20点(全て1階に展示)とともに、ブルーノ・マトン(Bruno Mathon)の銅版画(アクアチントとエッチング)51点(1階て展示する3点以外は全て地下に展示)を紹介する。ブルーノ・マトンの無題のエッチングのシリーズ26点は、「なぞなぞ・絵と言葉のかくれんぼ」と題されたコーナーに展示され、谷川俊太郎と大岡亜紀の言葉とともに鑑賞するようになっている。 ブルーノ・マトン(B…
ちょっとした成り行きで、読売新聞編集委員 鶴原徹也のインタビュー本『自由の限界 世界の知性21人が問う国家と民主主義 』【2021.1.10 中公新書ラクレ】を読んだ。本筋とは全く関係なしだが、映画好きで知られるスロベニアの精神分析学・哲学者 スラヴォイ・ジジェクがこんな言葉を言っている。 「溝口健二監督の『山椒大夫』は不朽の名画だ。洗練された演出、役者の顔の大写しを避ける撮影技術、あれは日本人の礼儀正しさだろう。日本的な礼儀正しい無関心は、異なる文化、宗教の移民と付き合う良策かもしれない。」 そういえば、こんな映画もあったな。2006年製作 2010年日本公開『スラヴォイ・ジジェクによる倒錯…
この話題、長いな。まだ盛り上がってるんだね。 b.hatena.ne.jpこの広告に嫌悪感を抱く人を精神分析してみるか。そもそもなんでこの広告を嫌悪するのか、自問自答してみるといい。まず結論として、この嫌悪感は「たわわな女子高生」それ自体というよりは、「たわわな女子高生をまなざす男性」に嫌悪感を抱いている。それを証明するのが、「豊満なバストを持つ女性が男性に礼賛される」「豊満なバストを持つ女性が性的に消費される」という現実だ。その現実の形成過程は話が長くなるから割愛。この「まなざし」という概念は、フワちゃんや指原莉乃になりたい願望の中に「フワちゃんや指原以外の他人」が混ざっている理由について精…
2022年4月6日、香港のSanmuchanのFBにあるモスクワのアーティストの写真が掲載された。それは後ろ手を縛られた人が路上に打ち捨てられた姿だった。これはウクライナで虐殺された人々の姿を模したものだった。もちろん反戦を訴えている。(4月5日weibo微博 俄罗斯知识局) 2022年4月6日 モスクワ わたしは、艾未未の作品(2016年1月25日芸術家)を思い出した。15年9月、ギリシャレスボス島の海岸に遺体で漂着した3歳のシリア難民の子どもをモチーフにしたものだった。発表当初は子どもをそっとしておいて欲しいという意見もあったが、いま考えるとこうした表現は苦痛と憤りをそして抵抗を示すものと…
コロナ蟄居の中で、2021年は訃報が続いた。信州大学の恩師、松岡俊裕先生。30年前私を埼玉大学に採用してくれた先輩、小谷一郎先生。私の義母、叔父、甥。感謝の気持ちは、尽きず、日々思い出している。だがまだその気持ちを伝えられない。 エミール・クストリッツァの「ジプシーのとき」「アンダーグラウンド」など大方の作品を観た。人間の愛を伝えきれない不器用さやイデオロギーに翻弄される弱さが、作品に溢れ、それでも土臭く生きのびてゆく、強かさを教えてくれた。 スラヴォイ・ジジェクの思想は、日常に隠されたイデオロギーの存在を確認させる。また社会主義実験が失敗し続けても、それでも繰り返して挑戦する意志の重要さを教…
最近、こんな記事がバズってた。 b.hatena.ne.jpなるほどね、相談者だけでなく、フワちゃんや指原莉乃にも、自分もそうなれたかもしれないと思う対象がいるんだけど、それにはなれないから「見ないようにしている」ってことね。これは自分が語っているルサンチマンの実践、「対象aからの逃走」ではないかと思った。 gyakutorajiro.com嫉妬に駆られたときの対処法として、ぜひ当ブログで発信しているルサンチマンの呼吸を参考にしてほしいと思うんだけどね。まあそれは今回の本題ではなく、そもそも「フワちゃんや指原莉乃になりたい」という願望の中身について、考察していく。まず、フロイトはこう言ってる。…
令和4年度読書会日程 開催日 毎月第2水曜日 時間 13時から16時まで 場所 市民館2階 第2会議室 (※変更となる場合もあります) ★竹原読書会のアーカイブから過去の感想文などをご覧いただけます。 課題本 開催日 書 名 編著者名 4月13日 コンビニ人間 村田沙耶香 5月11日 蓮如 われ深き淵より 五木寛之 6月8日 ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー ブレイディみかこ 7月13日 康子19歳 戦禍の日記 門田隆将 8月10日 『康子19歳 戦禍の日記』振り返り 9月14日 火花 又吉直樹 10月12日 パンデミック スラヴォイ・ジジェク 11月9日 猫を棄てる 村上春樹 12…
シャルル・ド・モンテスキュー 政治哲学男爵権力分立 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 シャルル=ルイ・ド・モンテスキューCharles-Louis de Montesquieu モンテスキューの肖像 生誕 1689年1月18日 フランス王国・アキテーヌ、ラ・ブレード城 死没 1755年2月10日(66歳没) フランス王国・パリ 時代 18世紀の哲学 地域 西洋哲学 学派 啓蒙思想 研究分野 倫理学法哲学政治哲学社会哲学歴史哲学 主な概念 権力分立(三権分立)、立法、司法、行政classification of systems of government based…
イマヌエル・カント 哲学哲学者教授 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 イマヌエル・カントImmanuel Kant イマヌエル・カントの肖像 生誕 1724年4月22日 プロイセン王国・ケーニヒスベルク 死没 1804年2月12日(79歳没) プロイセン王国・ケーニヒスベルク 時代 18世紀の哲学、19世紀の哲学 地域 西洋哲学 学派 カント主義Kantianismus、啓蒙思想(啓蒙時代の哲学) 研究分野 認識論、形而上学、倫理学、宇宙進化論 主な概念 超越論的観念論(超越論哲学)、物自体、批判哲学、アプリオリ、ヌーメノン、「あえて賢明であれ」、定言命法、仮言命…
シェイクスピア『ヴェローナの二紳士』、『じゃじゃ馬馴らし』、『十二夜』、筒井康隆『文学部唯野教授・最終講義ーー誰にもわかるハイデガー』、Fredric Jameson, Raymond Chandler: The Detections of Totalityを読了。あとはスラヴォイ・ジジェク『ポストモダンの共産主義ーーはじめは悲劇として、二度目は笑劇として』を100ページほど読んで、やめる。春休みなのに、休んでいない日々。Happy Days. 花粉症激化あるいは激化花粉症……。