第116話 人生初の タイとクアイテ 晴れ渡る空を、気持ち良さそうに飛んでいた飛行機は、 時間通りにバンコクのスワンナプーム国際空港に着陸した。 隣のご夫婦は、降りる際にも 満面の笑顔で会釈してくれた。 多少の罪悪感を感じながらも僕は、 「ハバァ グッタイム!」と最高の笑顔で挨拶した。 飛行機を降り、イミグレーションに向かい、入国審査の列に並ぶ。 実は僕は、カンボジア − ベトナム 間の移動が、あまりにスムーズで 審査が甘かった為、すっかり油断していた。 パスポートを、審査官に見せる。 その厳しい顔つきをした、細身の年配の男性職員は僕を見て、手元を人差し指でトントンして 「クァイテ」と言った。…