Susan Sontag、1933年ニューヨーク生まれ、 ハーヴァード、パリ大学で哲学を学ぶ。 雑誌編集者を経て大学で哲学を講じる。 2004年12月28日没。
アメリカの批評家、作家。代表作に『隠喩としての病』『反解釈』『写真論』など。
なぜ「スーザン・ソンダク」と誤って記憶している人が多いのかは疑問。
突如写真に興味を持ち始め、どこへ行くにもカメラを携えていた若かりし頃、「これ読んでみなさい」と知人から渡されたのが、この本だった。 「写真論」スーザン・ソンタグ著 近藤耕人訳 晶文社 原書の刊行は1977年、今から46年も前のこと。 なのに時代遅れと感じるどころか、最初から最後まで、まるで今を語っているようで、時代を超えた名著である。 この本は写真について、だけじゃない。 著者スーザン・ソンタグは写真を通して、芸術を、文化を、アメリカを、現代社会を、世界を、見据え論じる。 対象には決して介入せず、外側から見つめ、考察し、その姿勢は熱心ながら冷めており、気遣いながらも突き放し、世界を俯瞰する彼女…
昨日の補足から始めようと思う。 etsuro1.hatenablog.com スーザン・ソンタグの「写真論」って、ナニかと論じられ、註解され、引用されたりする。だが、この本を語るにしても読解するにしても、フォイエルバッハを避けて通るコトが出来ない。そして無神論とはいうものの、無神論者にもいろいろなスタンスがあるので一括りにしてしまうのも違うねぇ。 ソンタグはユダヤ系、フォイエルバッハはど~だったっけ?まあ、若い頃の著述にキリスト教批判とされる箇所があって失職したんだっけ?いずれにせよ、キリスト教という宗教・宗派については信仰が無かったり、不信感を抱いたりしていた・・・ってな感じかなぁ?だが、イ…
著名な批評家による、戦争やテロリズムに関する写真論 スーザン・ソンタグは1933年に生まれ、2004年に没したアメリカの作家・批評家である。『反解釈』や『写真論』などの著書、あるいは「キャンプ」という美的概念の定義などでよく知られている。(小説も書いていますが私はまだ読んだことないです) 今回紹介する批評的エッセイ『他者の苦痛へのまなざし』は原著が2003年に刊行されているので、最晩年の書ということになる。 他者の苦痛へのまなざし 作者:スーザン ソンタグ みすず書房 Amazon 邦訳書で本文が120ページ程度というごく短いこの本の主題は、戦争やテロリズムを被写体とした写真、あるいは映像につ…
はてなブックマークは人間の負の感情の巣窟であり、アクセスすれば何かしらの嫉妬・怒り・恨み・辛みの感情の発露と、それを抑圧するために生み出したルサンチマン(奴隷道徳など)に溢れてる。そして今日もいいルサンチマンを見つけたぞ。 anond.hatelabo.jpこれを書いた増田は俺とよく似ている。俺と同じく、独身のアラサーとかアラフォーで、彼女もおらず結婚できない孤独な男ではないだろうか?等と決めつけるのは失礼だが、それは重要なんだ。パートナーの有無によって「理解のある彼くん」に対する嫌悪感にグラデーションが生じる。パートナー不在だと嫌悪感が高まる。なぜか?それは、 モテない独身は、男女が結ばれる…
スーザン・ソンタグ『こころは体につられて: 下』河出書房新社 (2014年) 、 『ブランショ生誕100周年 : 次の百年の文学のために 現代詩手帳特集版ブランショ2008』思潮社 (2008年) 、 里中李生『私は昨日まで日本を愛していた』イースト・プレス (2021年) 、 ディケンズ『大いなる遺産 上』新潮文庫を読む。 ディケンズは分からないが、それ以外の3冊はそれぞれベクトルは違えど、共通点として「芸術」がある。 ソンタグは多くの芸術に関する批評書を出しているが、今日は日記を読んだ。 ソンタグは多感で恋愛体質であるように感じる。 恋愛に関する日記が多い。 そして、芸術が好きな人間は恋愛…
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』のつづきと、 nainaiteiyan.hatenablog.com ニーチェ『ツァラトゥストラかく語りき』と、 スーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ』河出書房新社 (2018年) を読む。 ニーチェは善悪の二分法を否定している。 「持つべき善は存在しない」と述べている。 その理由を、ソンタグの本で回収することができた。 ニーチェは反プラトン主義者であったとされる。 「神は死んだ」が本当に意味するものについてはまだ分からないが、「プラトンは死んだ」なのだろうか。どうなのか。 そのあと、ニーチェの思想を継承しつつ、文学で武装する『私…
スーザン・ソンタグ『反解釈』ちくま学芸文庫 (1996年) を読む。 導入部分から数十ページじっくり読んでみた。 内容としては、ノエル・キャロル『批評について』に近い。ソンタグは冒頭で批評に対する批評を行う。だから「反」解釈というタイトルなのかもしれない。 nainaiteiyan.hatenablog.com ソンタグによれば、今日の批評というものは俗物根性で、芸術作品を冒涜するものが少なからずあるという。 作品は批評を免れない。 だからノエル・キャロル『批評について』においても論じられていたように、作品に「意図」というものを混ぜ合わせて批評家に抗う営みが行われる。 批評のための批評。 かく…
『他者の苦痛へのまなざし』を読んだ記録。 ある日このツイートが流れてきた。 ここのところの写真や映像をどう受け止めたらよいかわからない人は、気持ちと考えを落ち着ける役に立つかもしれない。スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』(北條文緒訳、みすず書房、2003年) pic.twitter.com/lCfULR5HIZ — SatokoTakayanagi (@SatokoTakayanag) 2022年4月5日 まさに私のことだ。どう受け止めたらいいかわからなかったし、落ち着きたかった。 「ここのところの」と投稿者が言っているのは、2月24日に始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻のこ…
今日は衝撃的なニュースがあった。 b.hatena.ne.jp竜ちゃんの死去、「なんで?」「どうして?」と思った人は多いだろう。俺もその一人だ。三浦春馬、竹内結子、神田沙也加、上島竜兵…芸能界の一線で活躍していた人達。誰しもがなりたくてもなれる存在じゃない。多くの人々を物語の世界に引き込む演技力がある役者、魅惑的な歌声で空間を一変させ様々な感情を喚起する歌手、ありとあらゆる方法で人を笑わせる芸人。実力がないとなれないし、テレビや映画に出ることはない。だからこそ、人並みよりも多くの収入を得ていたり、豊かな生活をしていると思ってた。例えば俺みたいに、低所得で人間関係が希薄な生涯独身者予備軍が、風呂…
ウクライナ情勢に関する報道が、連日深刻さを増してきています。真っ白な雪道を、踏み潰すように猛進する戦車の群。黒煙が立ち昇った火力発電所。それらの映像をテレビ画面で見ながら、この十数年、幾たびとなく襲われた同じ意識状態にさらわれて行きそうになっている自分を「ここ」に取り戻すべく、ある本を手にとりました。 『他者の苦痛へのまなざし』スーザン・ソンタグ著 他者の苦痛へのまなざし 作者:スーザン ソンタグ みすず書房 Amazon 冒頭、著書にはこう綴られています。 現代の生活は、写真というメデイアをとおして、距離を置いた地点から他の人々の苦痛を眺める機会をふんだんに与え、そうした機会はさまざまな仕方…
今日からこの本を読みはじめました。 「病気は決して中立的なものではない。治療はイデオロギーと無縁ではありえない。死が政治性を免れることもない。」 シングルマザーであり、大学で教えながら詩人として活動する著者は、41歳のときトリプルネガティブ乳がんと診断された。著者は自らが経験したことを書きながら、スーザン・ソンタグ、オードリ・ロード、キャシー・アッカーなど、乳がんで命を落とした女性作家らが乳がんをいかに「書いたか/書けなかったのか」という歩みを辿り、米国の資本主義医療の欺瞞を突く。2020年ピュリッツァー賞受賞作。 ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』で高い評価を得た訳者、西山敦子による待望の著者…
元の記事 note.com --- 本の題名には「うつ病」とありますが、メンタルヘルスに限らず、社会学やサブカルチャーを含む幅広い内容の本でした。特集記事→ https://kangaeruhito.jp/interviewcat/saitoyonaha 心を病んだらいけないの?: うつ病社会の処方箋 (新潮選書) amzn.asia 1,595円 (2023年08月29日 05:12時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 精神療法 承認欲求とお金 その他 言及されている本 精神療法 ▶️ 特性の区分のところが面白かった ADHD:反則だと知っていても、ついカードの裏を見ち…
活動の網羅は不可能であり主要なイベントのみに限る(それすら多々漏れあり) 2020年(令和2年)57歳 1月 NHKドラマ「ハムラアキラ」劇伴 1.18 ペペトルメントアスカラール 高崎 2.5 「菊地成孔の映画関税撤廃」(blueprint) 2.10 菊地成孔プレゼンツ モダンジャズ・ディスコティーク新宿 菊地成孔,sayaka(DJ) ROMANTIC BABALU 新宿ピットイン 3.5 濱瀬ELF 3.16 菊地成孔プレゼンツ/私立ペンギン音楽大学DJ PARTY vol.2 青山ZERO 4.3 NHKラジオ 高橋源一郎「飛ぶ教室」ゲスト(番組テーマ曲作曲) 東京都知事について発言…
行為としての読書 美的作用の理論 (岩波モダンクラシックス)作者:ヴォルフガング・イーザー岩波書店Amazon Wolfgang Iser, 1976, Der Akt des Lesens: Theorie ästhetischer Wirkung. ISBN:3770513908 ISBN:382520636X 英訳:The Act of Reading: A Theory of Aesthetic Response. ISBN:0801821010 ISBN:0801823714 ISBN:B002FEBIQO I 問題領域──文学の解釈は意味論と語用論のどちらにかかわるか A 部分芸術…
私はホワイルアウェイの農場で生まれた。五歳のとき、(みなと同じように)南大陸の学校にやられたが、ちょうど十二になったばかりの頃にまた家族の一員になった。母の名はエヴァ、もう一人の母親はアリシアといった。私はジャネット・イヴェイソン。十三歳の時、こっそりとオオカミを追い、北大陸の北緯四八度線の北で、誰の助けもかりずにライフルで仕止めた。オオカミの首と足をのせようとそりを作ったものの、結局持ち帰ったのは足一本だけだった。でも証拠としては十分だ(と私は思った)。鉱山、ラジオ局、酪農場、菜園などで働いていたが、足を怪我してからの六週間は図書館の仕事をした。(ジョアナ・ラス『フィーメイル・マン』第一部冒…
外出するときは必ず複数冊の本を持って行く。外出先で手持ち無沙汰になった時(ちょっとした待ち時間や公共交通機関での移動時間)に、手元に何も読むものがないと言う状況は望ましくない。なぜ複数冊の本を持っていくかというと、その時々の気分によって読む本を変えたいからだ。そのために本の種類を適度にバラけさせている。アメリカ文学についての本が読みたいという時に、言語哲学に関する本が手元に5冊あっても仕方がない。 今日は、アンドレ・バザン『映画とは何か』、アーサー・C・ダントー『アートとは何か』、スーザン・ソンタグ『ラディカルな意志のスタイルズ』、横道誠『みんな水の中』、山口裕之『語源から哲学がわかる事典』を…
ここの続き。 誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる 作者:ロイ・リチャード・グリンカー みすず書房 Amazon (確か本書の一節を)ググると、こんな評:「異常」と「正常」はどうやって生み出されてきたのか──『誰も正常ではない――スティグマは作られ、作り変えられる』 - 基本読書 過去は外国である L・P・ハートリー(L. P. Hartley)の言とされてたが、詳細不明… 伝統社会の治療師*1は、精霊をなだめることはできても完全に取り除くことはできない だから(患者は)、西洋の治療も受けるんだって。 こういう人々もいるんですか:ジュホアンシ族は現在狩猟禁止でどんな暮らし?言…
●映画評論家●映画史家●他 ●映画評論も多く手掛けた小説家 ●映画理論家としても活躍 ●哲学者 ●評論家・批評家出身の映画監督 ●批評家としても活躍
原題:The Strange Death of Europe: Immigration, Identity, Islam. 著者:Douglas Murray(1979-) 評論家。ジャーナリスト。 訳者:町田 敦夫[まちだ・あつお](1961-) 翻訳家、ライター。 解説:中野 剛志[なかの・たけし](1971-) 評論家。 件名:移民・植民--ヨーロッパ NDLC:GG161 NDC:334.4 西洋の自死 | 東洋経済STORE 西洋の自死: 移民・アイデンティティ・イスラム作者:ダグラス・マレー東洋経済新報社Amazon西洋の自死―移民・アイデンティティ・イスラム作者:ダグラス・マレー…
息子であるディヴィッド・リーフ氏によるスーザン・ソンタグの臨終に至る回想である。 臨終記というと花屋日記が思い浮かぶが、こちらは感傷的な記憶の記録のようなものだと思った。 この本からソンタグの思考を読み取ろうとするなら、確率で人生を決めてはいけない、ということだと思った。 絶望とか希望とか、そういうことではない。 存在する治癒方法に肩入れすることと、それがどれほど望みが薄いかということには、関係がない。 ソンタグがどう生きたのか、それは評伝を待った方が良かったかもしれないと思った。 死の海を泳いで―スーザン・ソンタグ最期の日々 作者:デイヴィッド リーフ 岩波書店 Amazon 【中古】死の海…
本に呼ばれる、という感覚がある。 読みたいな、というのではなく、あ、これは読まないといけない本だ、と思ってしまう感じに近い。 読まなければいけない、というのは義務でもないし、何かタスク的なものでもないが、切迫感はある。 オカルトっぽい「呼ばれる」というのに近いかもしれないけれど、心霊現象に遭ったことがないので、同じかどうか知らない。 ともあれ、この本もまたそんな本だった。 ソンタグ(ソンターグと発音するほうが近いらしいけれど、人から聞いた話なので、あてにはならない)を知ったのは高校生の頃だったと思う。 「反解釈」の単行本を、確か新宿紀伊國屋書店で買ったのじゃなかったかと思う。 なんで手に取った…
ローベルト・ムージル、フランツ・カフカ、ヴァルター・ベンヤミン、ヘルマン・ヘッセ、またブランショやスーザン・ソンタグなど錚々たる面々から高く評価されているローベルト・ヴァルザー(1878-1956)は、スイス生まれのドイツ語の詩人であり散文作家。本書は日本で独自に編まれた選集で、処女詩集全42篇と折々の散文小品50篇が選ばれている。全般的に繊細で内向的な青年の夢想といった趣きが強く、世間との折り合いをつけられない人物を描く哀感が強い作品と、甘く軽い想像上の恋愛譚が多い。文学的にはこれといった特徴がある作品ではないようなのだが、ときどき胸に残る哀切な表現で読者をハッとさせる。 音楽の調べは、短剣…
最近は異様に肩、腰、首が痛いので、毎日ヨガをやっている。やるべきことがほんとになかなか進まず。 スーザン・ソンタグの日記、川田絢音の本、など。わたしは今や先が見えない不安が嫌でモデルが欲しいのだろう。ずっと。 婦人科。婦人科の待合室で聞こえてくる会話もまたいつもあけっぴろげで切ない。そして、それぞれがそれぞれに背負ってきてそうなった、その困り感のかたちがぜんぜん違う、違いながら「型」があって、語るうちにどれも一様のところに回収されていくみたいだ、と思う。語るうちにそれぞれが自分にあった型をうまく見つけて、そこへうまくのっていく、みたいだ。 聞く側の聞き方も、素人の私にはぜんぶ一緒に聞こえる。文…
在宅。何もする気が起きずダラダラとHDDを消化する。「就職戦線異状なし」。ただひたすら仙道敦子が可愛い映画。和久井映見もいいけど。そして織田裕二はこのころから織田裕二で織田裕二の若い頃って少しだけ柳楽優弥に似てるかもと思ったり。加えて的場浩司はいろいろ酷くてでもその酷さが純朴さのようなものと相まって魅力的にもようにも感じられて物語上は早稲田大学生で格好はコンサバなんだけど髪型はリーゼント風でそこは譲れなかったのかなと。坂上忍もいい勝負なのだがこれはまた別種の酷さというか。あとほんとうにちょい役で光石研が出てたり。ちなみに脚本には坂元裕二の名前も。監督はガメラの金子修介。超売り手市場の就職活動な…
公式サイト 2023 European tour - Roger Waters “ピンク・フロイドの黄金期クリエイター”ことロジャー・ウォーターズのツアー「This Is Not A Drill」を6月6日、ロンドンはO2アリーナで観てきました。今回はそのライブレポートです。 前回の「US +THEM」ツアー(2017)のレポートについては、過去記事を参照ください。 「US +THEM」ツアーが終わったのが2018年。映像版も製作され、ロジャーはこれでライブ活動からは引退するのではないか……という予感がよぎったのだけど、いやいや世界情勢がこの男を黙らせてはいなかった。 新ツアー「This Is…