ドミニクと過去に遡るなんらかのつながりをもつ使用人らしからぬ使用人たちが、得体の知れない徒党を組み、画策を巡らし、プロットが複雑を極めていくにつれ、ドミニクの全知で有能かつ取り入るような性格は、今にも、このうえなく邪悪で妖しげで性的な執拗さをおびてきそうであるが、実際はそうはならない。というのも、人を搾取するような「東洋の」快楽に彼の主人が興じているとしても、それは、「デカダンス」という曖昧なもの――必ずしも性的に何を指すかはっきりしないものとしてしか見受けられないからである。『ドリアン・グレイの肖像』もおそらく同様で、(伝記的な事実から得られるあと知恵は別にして) バジルとドリアンおよびヘン…