出遅れた国々:インドの場合 京都大学の文化人類学者・梅棹忠夫は、1955年5月~11月にインド・パキスタン・アフガニスタンの調査旅行を行いました。このときに目撃した凄まじい貧困の様子を、彼は『文明の生態史観』のなかで次のように報告しています。 「インドを旅行していると、まったくたまげるような職業にぶつかる。ここでは、洗濯ものをほすのに、ものほしざおにかけたりはしない。女が身にまとうサリーは、ながい一枚の布である。ふたりの男が、その両端を手にもって、日のあたるところにたつのである。そのまま、かわくまでたっている。 わたしはまた、道ばたにはいつくばって、手で地面をたたいている男をなんどもみた。それ…