人間の醜さを直視し、目を逸らさずに見つめた── 描写した。ところに、あるのではないか。 今日び、やたらに美化を嗜好し、それも今に始まったことでなく、決まり切った起承転結、はいめでたしめでたし、慰安、おなぐさみを求めてナデナデされて、やれほっこりだ癒しだなどと頬張って口をふくらませたハムスターのような作品とは明らかに一線を画す。 暗部。美や平和と対極にある闇、人間に永遠普遍にある、内在する闇。これを抽象し、抽出し、コポコポとフィルターから美味いコーヒーを煎った。味わったことのない、とっておきの珈琲だ。こんなに沢山の作家がいる・いたにも関わらず、あんな味を創出したマスターはセリーヌだけのように思う…