ローマ人の物語Ⅹ、ソフトなインフラについて帝国の首都にもかかわらず、ローマには大規模な医療と教育の施設が無い。まず医療については、長い間専門の医師が存在しなかった。その代わりになるのは、家庭医療と神頼みだった。家父長や奴隷医師と呼ばれる人たちにより、処置が行われた。神頼みも、そのための休暇や参拝地の温泉、そしてその場での同じ立場の人たちとのふれあい、などで、必ずしもただの迷信ではなく、多少の効果もあるようであった。そんな状況の中、カエサルにより、医師にローマ市民権が与えられる。そのような優遇策により、医師の種類も細分化して、その技術も向上させていく。そして、軍のための病院を造っていく。それが一…