週末の午後。 ふと手にした本に、こんな一節があった。 「歩くことは、人生を変える」 ページをめくりながら、我に返る。 健康の啓発本をソファで寝転がって読んでいる自分は、なんと滑稽なのだろうか。 「歩けば変わる」という知識をいくら頭に詰め込んでも、脂肪は燃えないし、思考の澱(おり)も晴れはしない。 まさに「知行合一」ができていない典型だ。 「読んでる場合じゃない、歩かないと」 衝動的に本を閉じ、リュックにガスバーナーとカップ麺を放り込んで家を出た。 目指すは、鎌倉の古い記憶を宿す場所、衣張山(きぬばりやま)。 結論から言えば、往復でわずか7400歩。 距離にして5キロにも満たない。 「なんだ、近…