久しぶりなので短いものを書く。 以前に村上春樹『タクシーに乗った男』をめぐって「共感とプラハの春」と題して書いた。書くには書いたが、タイトルにもある「タクシー」について回収していなかった。 dokusyonohito.hatenablog.com dokusyonohito.hatenablog.com 今回はそんなはなしである。 明治26年10月30日「文學界」第10号に、北村透谷が「漫罵」という小文を寄せている。 研究史ではこれをめぐってさまざまな言及がある小文ではある。 ともあれ、内容は、東京の街を逍遥する透谷が、開化以降つぎつぎに流入してくる西洋の文物ともともとの江戸の文物が混在するあ…