90年代におけるDJのカッティング/スクラッチングといった初期の手法に替わって、巧妙なスタジオ制作が主流になっていくと、新しい世代のアーティストたちは、ターンテーブルがもつ楽器としての魅力に着目し始めた。 ターンテーブリストたちは、ビートやカット・アンド・スクラッチ・リズムを巧みに操り、インストゥルメンタルな楽節を重ね、別の曲から「オイシいところ」だけを抽出し、巧みな編集作業をほどこし始めたのである。そういやって、まったく新しいスタイルの新しい曲を生み出すことに成功したのだ。 ヴィンロック、Apollo、Q-Bert、Rob SwiftやPeanut Butter WolfといったDJたちは、みな一様にリスペクトされてはいたが、“ターンテーブリスト”というポジション自体は、Invisibl Skratch PiklzのMix Master MikeがBEASTIE BOYSのアルバム『ハロー・ナスティ』でその凄腕を披露した際、一躍一般的にも認知されるようになったといえるだろう。 一方、グループにおいては、1人がビートをスクラッチ・アウトする一方で、他のもう1人がベースに取り組む――など、ひとつのバンドとして機能することが多い。 代表的な物にThe X-Ecutioners、The Beat Junkiesなど。