(満開になった遊歩道の紅梅) 「疾病というものは侮り難い強敵なのだ。恐るべき武器をもっているのだ。われわれがどれほど強固な武装をしたところで、なかなか歯がたつものではない。われわれがどれほど防衛の態勢を整えたところで、その攻撃にかかっては耐えうるものでないのである」 これは、1722年にイギリスで出版されたダニエル・デフォー作『ペスト』(平井正穂訳・中公文庫)という作品に書かれている一節だ。「疾病」には「ペスト」というルビが振られているが、今世界中で猛威を振るっている「コロナ」と置き換えることもできる。300年の長い時代を経ても感染症の脅威は変わらない。 作品の終盤では、ペストが終息した後のイ…