妙子は銀座まで出かけるなら、話に聞いているニュウグランドかローマイヤアへ行きたいと云うので、ローマイヤアということにしたが、あたしも行ったことがないねん、数寄屋橋で降りてどう行くのん、と、姉がかえって幸子に尋ねる始末であった。(中巻) 谷崎潤一郎(明治19.7.24~昭和40.7.30 小説家)の小説「細雪」(「上」昭和18.1,3『中央公論』『中巻』昭 和22 .2 中央公論社「下」昭和22.3~12『婦人公論』)の姉妹たちが、上京の折にしばしば訪れたのは、銀座のドイツ料理レストラン「ローマイヤ」。 今ではすっかりデパ地下のハム・ソーセージ売り場でお馴染みの、あの「ローマイヤ」が営むレストラ…