未完の巨人人形 (ロマン・ノワール) 作者:ディディエ デナンクス 草思社 Amazon ★★ フランス北部の町アズブルック。かつての恋人に会いに来た男が、殺人の容疑で逮捕される。男は精神錯乱で不起訴になり、精神病院に入院することに。1年後、男は事件の真相をカセットテープに吹き込んで自殺するのだった。そのテープを聞いたカダン刑事が、事件の再捜査に乗り出す。 だからおれはこのカセットテープを吹きこんだのだ。皆がようやくおれの話に耳を傾けるように。おれの声が永久に消え去ろうとしているいま、皆がその声を聞くように。(p.38) 社会派要素の強かった前2作*1に比べると、本作はチャンドラー風の私立探偵…