第一話:父親猫が残したデコレーション 第二章 第二章 東京の冷凍工場で荷卸しを終えて戻ると、アイリンは自分の職場「マメ吉急送運輸鮮魚部」へと向かった。 千葉の田舎町に位置するこの運輸会社は、デコトラを20台所有する大きな会社だ。 マメ吉社長は自らも「疾風丸」というデコトラを運転する、情熱的で面倒見の良い人物だ。 その面倒見が良い事が後々、会社に暗雲が圧し掛かって来る事は誰も予想だにしなかった。 「ただいまニャン!」 アイリンは元気よく事務所の門をくぐった。 マメ吉社長がすぐに駆け寄ってきた。 「おかえり、アイリンちゃん。市場はどうだったかい?」 「市場でちょっとした事故があったけど、みんなで協…