2008年の世界金融危機の時、多くの人はこう考えました。 「デリバティブなどの訳の分からない金融商品がのさばっていたから、巨大な経済バブルが発生した」 私も、ほぼ同意見です。サブプライムローンという住宅の借金を債権に変えるなど、誰でもおかしいとすぐ分かるのですが、あまりに複雑(≒デリバティブ)にされて、本質が隠されていたのです。 「ウォール街の物理学者」(ジェイムズ・オーウェン・ウェザーオール著、早川書房)という本があります。単純にいえば、この本は2008年の世界金融危機の時に複雑化されすぎたデリバティブを生んだ数学者や物理学者批判に対して、100年以上の歴史を振り返り、数学者や物理学者がいか…