谷地温泉の朝は早い。「なに言ってるのよ。コトリが叩き起こしたんじゃない!」 文句を言わず荷造りだ。「まだ五時だよ」 日の出は四時過ぎだ、十分に明るい。バイクに積み込むのだ。「浴衣で外出たら寒いじゃない」 朝風呂に入るから温まる。風呂から部屋に戻れば着替えだ。「まだ浴衣のままでもイイじゃなし。朝ごはんは七時からでしょ」 六時に繰り上げてもらった。早く食べなさい。「何時に出発なのよ」 六時半までに出発する。今日は可能な限りぶっ飛ばして、「十和田湖ゴールドラインなのに、どうしてここまで飛ばすの。危ないじゃない」 静かにしなさい。ここだ。「停めるよ」 「ここからどうするの」 「奥入瀬渓谷歩くに決まっと…