思うに、健康なひとが最も想像しがたいことは、死ぬことである。 イワン・イリッチの死 (岩波文庫 赤619-3) [ トルストイ,L.N. ]価格: 440 円楽天で詳細を見る 法律学校を卒業し、結婚して子どももいて、仕事では昇進し、持ち家があり、優れたひとたちと付き合い、平凡だが申し分のない生活を送っていたイワン・イリッチ。だがその生活は、ある些細なケガをきっかけに一変する。 本書の前半で、イワン・イリッチの職場の人間は、彼の死を自分の昇進と結びつけて考えるだけだったが、後半ではイワン・イリッチが苦しみ悶える。死はすぐそばまで迫ってきており、絶望の合間にわずかな希望が顔を見せるだけだ。 イワン…