1. はじめに:なぜ今この話をするのか 株式市場の動きが激しさを増している。地政学的リスク、金融政策の転換点、需給の歪み、そして心理的パニック──そうした要因が複雑に絡み合いながら、相場の変動を加速させている。特に2023年の8月、そしてそれに続く2024年初頭の相場の展開は、多くの個人投資家にとって強烈な印象を残すものだった。 急落した相場が数日で急回復する「V字反転」を体験した投資家は、そのときのことを鮮明に覚えているだろう。暴落のさなかに手放したポジションが、その後まるでなにもなかったかのように価格を戻した──「あのとき、売らなければよかった」──そうした思いは、悔しさとともに「次は絶対…