さてヴェーバーによれば、政治の本質的属性は権力であり、政治とは「国家相互の間であれ、国家内部においてであれ、権力の分け前にあずかり、権力の配分関係に影響を及ぼそうとする努力である」。政治をおこなう者は、権力それ自体のためであれ、他の目的のための手段としてであれ、権力を追求せざるをえない。政治はどこまでも政治であって「倫理」ではない。その意味で政治一般に対するセンチメンタルで無差別的な道徳的批判は、百害あって一利もない。しかし一切の「政治が権力――その背後には暴力が控えている――というきわめて特殊な手段を用いておこなわれているという事実」は、政治の実践者に対して特別な倫理的要求を課するはずである…