今でこそファンの多いアールデコ挿絵本ですが、日本で知られはじめたのはせいぜいここ十数年ではないでしょうか。 鹿島茂氏は1993年に出した「バルビエコレクションⅡ ビリチスの歌」で自著を「ビリチスの歌(バルビエ挿絵)の初紹介」と述べています。また荒俣宏氏は1994年の「不思議のアールデコ」の中で、今では大人気のA.E.マルティを「知られざるアールデコ・アーティスト」と紹介しているくらいです。おそらくこのあたりが日本でのアールデコ挿絵本 "こと始め" でしょう。 バルビエやマルティは愛好家の中ではすっかりメジャーになりましたが、今なお知られざるアールデコの名手は数多く存在するようです。 アンドレ・…