過酷な時代を、ナチス期ドイツの、人が人を密告し合う相互不信が極限にまで押し進められた社会を生き抜いた潜伏ユダヤ人と、彼らを救った名もなきドイツ人市民たちの姿を読んだ。 ユダヤ教徒がヨーロッパに居住するようになってから2000年以上もの間、ほとんど常に弾圧や迫害の対象だった。「ユダヤ教」という異質の生活習慣や文化をもつ者への生理的嫌悪がドイツ人の心中にはくすぶり続けていた。あらゆる負の困難の原因をユダヤ人に転嫁し、人々の嫌悪を憎悪へと巧みに誘導し高めていった。が、一般的なドイツ人は、ナチスやヒトラーほど否定的感情を抱いていたわけではなかったとの報告もある。 1941年、ユダヤ人の強制移送が始まっ…