『ニューヨーク恋物語』(1988年)は、田村正和と岸本加世子を中心に展開される恋愛ドラマでありながら、ニューヨークの美しい風景と井上陽水の「リバーサイドホテル」の独特のメロディによって視聴者の記憶に残る名作である。 登場人物の心の揺れが、ニューヨークの喧騒の中で際立つ。 特に最終回の空港での別れのシーンは、この作品を象徴する場面として語り継がれている。 この場面で、岸本加世子演じる明子は田村正和演じる田島にふと尋ねる。『旅情』(1955年、デヴィッド・リーン監督)を観たことがあるかと。そして、こう語る。 「ちっとも誠実じゃないくせに、そのときだけは誠実さを見せる。女をいい気持ちにさせるために」…