本書は、2008年にノーベル経済学賞を受賞した経歴もある著者が、ニューヨーク・タイムズに連載していたコラムをまとめたものであり、その筆致は主にアメリカの保守派、当時の共和党政権に向けられている。政府も、連邦議会も、司法ですらも徹底的にこき下ろすのが本書の著者の筆力だ。 まず、本書のタイトルからして過激だ。「ゾンビ」とは高所得者への減税や気候変動を否定するアメリカ保守派の主張のことであるが、これは邦訳時に設けられたタイトルではない。原著名(”Arguing with Zombies: Economics, Politics, and the Fight for a Better Future")…