香港といえば、ネオンギラギラの夜景、と思っていた。少なくとも十年前、広東語初学者の自分が訪れた香港はそうだった。ところが今や、そのネオンの九割が撤去されているという。2010年の建築法等改正の法律が出来たためだという。ネオン職人だった亡き夫のやり残した仕事、最後のネオンを完成させようとする妻と、その回りの人々の様々な葛藤、奮闘、困惑。映画のエンドロールには実際のネオン職人たちも登場する。香港独自の文化を消したくないという想いが伝わってくる。久しぶりに、広東語の響きを堪能した。北京中国語とは全く違う、この言語は音楽的だ。この映画を見たときは、肉親の病状が悪く、かなり落ち込んだ気持ちだったけれど、…