『乾いた人びと』グラシリアノ・ハーモス(高橋邦彦訳、水声社、2022) ブラジル映画の新しい潮流「シネマ・ノーヴォ」の映画作家ネルソン・ペレイラ・ドス・サントスによる『乾いた人生』(1963)の原作。映画の方は以前アネテフランセでの上映時に観たことがある。その時は、監督本人も来日し、登壇していた。ザラついた作品のテイストとは全く違い、和やかで包容力溢れる人となりが印象的だった。彼の初長編『リオ40度』は大いに気に入って、二度目の上映にも足を運んだ。 日本でも2013年に公開された『アントニオ・カルロス・ジョビン』。ジョビンの音楽が映像で繋がれただけなのに、それらが結ばれたことで生まれる豊穣さは…