樋口明雄『宇宙に願いを』ヤマケイ文庫を読了。 タイトルは「宇宙に願いを」と書いて「ほしにねがいを」と読ませる。SF小説ではなく、著者の中学生時代をベースにした自伝的青春小説である。同じく自伝的青春小説である『風に吹かれて』とリンクした「幻夏」「俺たちのロングウォーク」、少し長めの「宇宙に願いを」の3篇を収録している。 「幻夏」は、7年ぶりに帰郷した小説家のモリケンが、少年時代の岩国にタイムスリップしたかのような不思議な時間を過ごすという短編。この7年前の帰郷というのが『風に吹かれて』で描かれたエピソードと「解説」にあって、「なるほど」と思いながらも詳細な内容を覚えていないので、もういちど『風に…