テレビで切り取られる不良やヤンキーは、ステレオタイプにはめられることが多い。例えば、モザイクつきのニュース映像で偉そうにしゃべる非行少女。あるいは、学園ドラマや漫画に登場するような札つきのワルともされるヤンキー少女。彼女らはその人格をデフォルメされ、おもしろおかしく描かれることが多かった。 だが、モザイクの向こう側の彼女らは、笑ったり泣いたりするひとりの若者に過ぎない。ゆえに、彼女らの実像に真っ向から向き合い、対等な目線でその声を拾った比嘉氏による回顧録は貴重だ。だからこそ、本書が第29回小学館ノンフィクション大賞を受賞したのは吉報であり、多くの人に希望をもたらしてくれたのではないだろうか。 …