アルファベット順にタイトルを付けるスー・グラフトンの「キンジー・ミルホーンもの」。これまで「証拠のE」までを紹介してきて、本書(1989年発表)が第六作。32歳のバツ2女キンジーは、生まれ故郷のサンタ・テレサで私立探偵をしている。身寄りのない彼女だが、家主のヘンリー老とは親子にも似た交わりがある。 今回、彼女のもとに持ち込まれた依頼は、17年前の殺人事件で有罪となった息子の罪を晴らして欲しいという80歳近い病んだ老人からのもの。時給30ドル+経費で本件を引き受けた彼女は、サンタ・テレサよりもさらに田舎の町フローラル・ビーチにやってきた。 ここは南カリフォルニアの保養地で、住民は1,000人ほど…