ダノス・タノビッチ監督に「ノー・マンズ・ランド」という作品がある。93年、ボスニア紛争下のボスニアとセルビアの中間地帯(ノー・マンズ・ランド)に取り残された二人の兵士の物語だ。 「ノー・マンズ・ランド」という言葉を初めて知った。 手のひらのことを外科医は「ノー・マンズ・ランド」と呼んでいる。誰のものでもない土地、神も侵してはならない部分というわけだ。 進化してゆくプロセスで人間の手は並みの動物に比べ非常に発達した。とりわけ手のひらは微妙な感覚をもつ特別に進化した部分。ここを切ったり、縫ったりする時はよほど慎重に行わなければならないという。 数か月前、舌の裏に炎症がおこり痛くてものが食べられなか…