ルドルフ二世などというと遠い過去の東欧の高貴な王族くらいに考えるのが通例だろう。 正確に言うなら16世紀にヨーロッパ(スペイン、オランダ、ボヘミア、ハンガリー)を統治したハプスブルク家の当主だ。1552年から1612年の生涯は日本の安土桃山から江戸時代初期に重なる。 ヨーロッパにおいて彼は当代第一の皇帝であったわけだ。 それが、どうして「我らの同時代人」かというと、彼は日本でいう「オタク」的性格をあからさまに具備しているからだ。 ルドルフ二世肖像画 初期のころにはそれなりの実績もあったが、政治的には失敗者だったので、晩年は落ちこぼれだった。引きこもり勝ちで派手な宮廷生活や色恋とは無縁だった。何…